《ニジンスキー・プログラム》ほか、モンテカルロ・バレエ2018年、新シーズンのラインナップが発表された

ワールドレポート/モナコ

香月 圭 text by Kei Kazuki

秋の到来とともに開幕する海外のバレエ団の新シーズン。ジャン=クリストフ・マイヨー率いるモンテカルロ・バレエでは「発見と旅」をテーマとしたラインナップを発表した。

まず《ニジンスキー・プログラム》では伝説と化したニジンスキーが演じた4作品(『ダフニスとクロエ』『薔薇の精』『牧神の午後』『ペトルーシュカ』)についてマイヨー、マルコ・ゲッケなど気鋭の振付家たちが新たな解釈を試みた作品が揃う。モンテカルロは、かつてディアギレフがバレエ・リュスの拠点として創作を行った。ニジンスキーにも縁ある街である。
モンタカルロ・バレエの《ニジンスキー・プログラム》は、2016年よりモンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団音楽監督兼芸術監督に就任している山田和樹が指揮を執る。

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Création J Ch. Maillot avril 2019 © Alice Blangero

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Daphnis et Chloé © Angela Sterling

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Spectre de la Ros marco Goecke MARIE LAURE BRIANE

《ライジング》は、インド北部の伝統舞踊カタックをベースにコンテンポラリーの要素もミックスし、オリジナリティを追求する舞踊手アカシュ・オデドラのソロ4作品のプログラム。オデドラ自身による振付や同じインド系のルーツをもつ師アクラム・カーン、シルヴィ・ギエムとのコラボレーションで知られるラッセル・マリファント、世界の舞台芸術を牽引するシディ・ラルビ・シェルカウイといった今最も話題の振付家による作品が披露される。

《ザ・グレイト・テイマー》は、2004年アテネ五輪開会式・閉会式の演出を手がけた鬼才ディミトリス・パパヤノウが視覚イリュージョンを駆使した舞台で観客に衝撃を与える。

《オスカラ》は、スペインのバスク舞踊をルーツにコンテンポラリー・ダンスの身体言語も取り入れたダンス・カンパニー「クーカイ・ダンツァ」による公演。バルセロナを拠点に活動する前衛ダンス・演劇グループ、ラ・ベロナルのリーダーを務める振付家/演出家マルコス・モラウの原案および演出による。

《グランド・フィナーレ》は、イスラエルの著名なカンパニー、バットシェバ舞踊団でキャリアを積み、今や英国ダンスシーンを牽引する存在となった振付家ホフェッシュ・シェクターのアナーキーなエネルギー溢れる作品。作曲家としても有能なシェクターは音楽も担当している。

《ノエ》は、パリ・オペラ座バレエやナンシー国立バレエでダンサーを経て、1998年にマランダン・ビアリッツ・バレエを創設したティエリー・マランダンが、旧約聖書の「ノアの方舟」を題材にした壮大な叙事詩作品である。
ヨーロッパのコンテンポラリー・ダンス最前線の動向が感じられる、モンテカルロ・バレエの新シーズンに注目したい。

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The Great Tamer © Julian Mommert

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Rising Aakash Odedra © Brooke Trisolini

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Oskara © Gorka Bravo

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Noe © Olivier Houeix

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HOFESH SHECHTER Grand Finale ®Rahi Rezvani 2017 Paris

モンテカルロ・バレエ 2018〜2019年シーズン

《ニジンスキー・プログラム Nijinsky Programm》
マイヨー/ゲッケ/ヴェルブルジャン/インガー
2018年12月8、9日 モンテカルロ歌劇場サル・ガルニエ
指揮:山田和樹(モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団音楽監督兼芸術監督)
モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団
●『ダフニスとクロエ』
振付:ジャン=クリストフ・マイヨー Jean-Christophe Maillot
音楽:モーリス・ラヴェル
初演:2010年4月1日 グリマルディ・フォーラム・モナコ
●『薔薇の精』
振付:マルコ・ゲッケ Marco Goecke
音楽:カール・マリア・フォン・ウェーバー
初演:2009年7月14日 テラス・デュ・カジノ・ド・モンテカルロ
●『牧神の午後への前奏曲』
振付:ジェローン・ヴェルブルジャン Jeroen Verbruggen
音楽:クロード・ドビュッシー
初演:2018年12月8日 グリマルディ・フォーラム・モナコ
●『ペトルーシュカ』
振付:ヨハン・インガー Johan Inger
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
初演:2018年12月8日 グリマルディ・フォーラム・モナコ
◇《ニジンスキー・プログラム》は2019年2月8〜10日パリのシャンゼリゼ劇場で開催されるトランサン・ダンス・シリーズの一環としても上演される。

《ライジング>アカシュ・オデドラ Rising > Aakash Odedra》オデドラ/カーン/マリファント/シェルカウイ
2018年12月10日 モナコ・ヴァリエテ座
●『NRITTA』
振付・音楽:アカシュ・オデドラ
●『IN THE SHADOW OF MAN』
振付:アクラム・カーン
音楽:ジョスリン・プック
●『CUT』
振付:ラッセル・マリファント
音楽:アンディ・カウトン
●『CONSTELLATION』
振付:シディ・ラルビ・シェルカウイ
音楽:オルガ・ウォシチョウスカ

《ザ・グレイト・テイマー>パパイヤノウ The Great Tamer > Papaioannou》
ディミトリス・パパヤノウ Dimitris Papaioannou
2018年12月12日 グリマルディ・フォーラム・モナコ
発案―視覚化・演出:ディミトリス・パパイオアノウ

《オスカラ>クーカイ・ダンツァ Oskara>Kukai Dantza》
クーカイ・ダンツァ、マルコス・モラウ/ラ・ベロナル Kukai Dantza, Marcos Morau/La Veronal*
2018年12月13日 モンテカルロ歌劇場サル・ガルニエ
原案および舞台演出:マルコス・モラウ
音楽創作:クサビエ・エルキツィア、パブロ・ギスベルト

《グランド・フィナーレ>ホフェッシュ・シェクター Grand Finale >Hofesh Shechter》
2018年12月14日 グリマルディ・フォーラム・モナコ
振付・音楽:ホフェッシュ・シェクター
《ノエ>マランダン・ビアリッツ・バレエ Noé > Malandain Biarritz Ballet》
2018年12月15、16日 グリマルディ・フォーラム・モナコ

モンテカルロ・バレエ公式サイト
http://www.balletsdemontecarlo.com/en

 

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