[ダンス情報] マリインスキー劇場でマリウス・プティパ生誕200年記念展開催

ワールドレポート/その他

香月 圭 text by Kei Kazuki

2018年にはマリウス・プティパ生誕200年を迎え、各地で様々な記念のイベントが開催されている。なかでもフランス人ながら、この地で偉大な仕事を成して骨を埋めた、サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場では、この劇場でしか見ることのできないプティパの貴重な展覧会が開かれる。ちなみにマリウス・プティパは、サンクトペテルブルクのアレクサンドル・ネフスキー寺院に隣接したチフヴィン墓地の音楽家たちの墓の一隅に眠っている。近くにあるチャイコフスキーなどのように彫刻などで飾られた華々しい墓ではなく、うっかりすると見落としてしまいそうな、地味だが落ち着いた古風なものだ。

マリインスキー劇場の展覧会では19世紀末〜20世紀初頭の本物のバレエ衣装を展示する。マリウス・プティパが『ラ・バヤデール』『眠れる森の美女』『ファラオの娘』、レフ・イワーノフと共作の『白鳥の湖』、『ライモンダ』などの自身の傑作バレエや、 『ジゼル』『海賊』など後世には典型作品となる復活上演を手がけたのもその頃であり、これらの作品はこの偉大なバレエ・マスターのおかげで今日まで生命を保ち世界中で盛んに上演されている。他にもマリインスキー劇場公文書館より、『ドン・キホーテ』や『タリスマン』の衣装や舞台の小道具や上演目録、写真、劇場プログラム、その他のアイテムが紹介されている。
この展示には極めて貴重なもの――「M.Petipa」と記された舞台衣装(ベスト)――も含まれている。また、他に類をみないアイテムのなかには『ファラオの娘』のパーヴェル・ゲルト着用の衣装や『白鳥の湖』で初主役を務めたピエリーナ・レニャーニの写真アルバムもある。このアルバムはマリインスキー劇場のコール・ド・バレエ団員による寄贈品である。この展示は2017-18年シーズンの終わり8月中まで開催予定。

◇マリインスキー劇場 今後のマリウス・プティパ生誕200年記念上演作品
『眠れる森の美女』5月10、11日
『白鳥の湖』5月17、19日
『ライモンダ』5月24、26、28日
プティパ生誕200年記念ガラ・コンサート 5月25日

◇マリインスキー劇場その他上演予定
『アンナ・カレーニナ』5月1日、6月8日
『シュラーレ』5月2日――ヤルリン作曲、レオニード・ヤコブソン振付1950年オリジナル版の復活上演
『石の花』5月3、4、5日
『四季』5月5、13日
『人形の精』5月6日――ワガノワ・バレエ学校生徒たちによる公演
『眠れる森の美女』5月7日――レオニード・ヤコブソン・バレエ劇場による公演
『ヤロスラヴナ 日食』5月8日――『イーゴリ軍記』を基にしたティシチェンコ作曲のバレエ。ヤロスラヴナはイーゴリ公の妻。ウラジーミル・ヴァルナヴァによる新振付。
『コンチェルトDSCH』5月9日――ショスタコーヴィチ作曲、ラトマンスキー振付
『ル・カルナヴァル』『薔薇の精』『瀕死の白鳥』『シェヘラザード』5月12日――フォーキン作品の夕べ
オペラ『金太郎の冒険』 5月12日――ルスタム・サグディエフRustam Sagdiev音楽・台本による子ども向けのオペラ。日本の昔話に題材を取っている。
『アダージョ・ハンマークラヴィーア』『ソロ』『2つのカップルのためのヴァリエーション』『5つのタンゴ』5月13日――ハンス・ファン・マーネン作品集
『ショピニアーナ』『薔薇の精』『瀕死の白鳥』『シェヘラザード』5月14日――フォーキン作品の夕べ
『ジュエルズ』5月18日
『バフチサライの泉』5月20、30、31日
『真夏の夜の夢』5月21、22日
オペラ『ファルスタッフ』5月23日――第26回白夜音楽祭オープニング作品。音楽祭の詳細プログラムは未定。
『カルメン組曲』『マルグリットとアルマン』5月27日

◇マリインスキー劇場公式サイト
https://www.mariinsky.ru/en/

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