井後麻友美と福岡雄大の『ライモンダ』三幕グラン・パ、矢上恵子振付『Multiplex Personality』を豪華メンバーで上演

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

K☆バレエスタジオ38thコンサート

『展覧会の絵』よりヒヨコの踊り『Jeunesse』『M』『Multiplex Personality』矢上恵子;振付、『カドリーユ』『子供の遊戯』矢上香織:振付

山本隆之に始まり、福岡雄大、福田圭吾、福田紘也と、新国立劇場バレエ団で活躍した、また現在活躍するダンサーを次々と育てているK☆バレエスタジオの38thコンサート。矢上香織、矢上久留美、矢上恵子の三姉妹が立ち上げたスタジオで、残念なことに長女・香織、三女・恵子は他界してしまったが、次女・久留美を中心に育ってきたダンサー達とともに積極的に活動している。今回の舞台も福岡雄大や福田圭吾も出演して盛り上げた。福岡は東京での舞台を観ると、堂々とした威厳をまず感じることが多いのだが、ここでは、子供の頃に戻ったような無邪気な表情が垣間見えたり、家族のもとに帰ったような温かさが滲み出る気がして興味深い。

矢上香織が振付、黒瀬美紀が再振付した『カドリーユ』で幕開け。続いての『パリの炎』よりグラン・パ・ド・ドゥはシスティアグ眞麻と三木志月。2人とも、まだ拙いところもあるものの、素直な踊りに好感が持て、これからグングン成長しそうな予感。Part1のラストは土屋華穂、木下嘉人、城戸彩、福田圭吾の4人で格調高く『白鳥の湖』よりパ・ド・カトルを観せた。

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「Contemporary Dance」矢上恵子振付作品より
撮影:田中聡(テス大阪)

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『M』土屋華穂、城戸彩
撮影:文元克香(テス大阪)

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『ライモンダ』三幕よりグラン・パ・クラシック
ライモンダ:井後麻友美
撮影:文元克香(テス大阪)

Part.2 は故・矢上恵子振付のコンテンポラリーを石川真理子の構成、指導で。『展覧会の絵』よりヒヨコの踊りの黄色いカバーを付けたランドセルをしょった小さな香坂文郁と相澤奏杏の愛らしさに始まり、『jeunesse』は三木志月を中心に女性6名と。三木はコンテンポラリーでも伸びやかさを見せ、益々、これからが楽しみに。土屋華穂と城戸彩による『M』を挟んで『Multiplex Personality』=多重人格。福岡雄大、福田圭吾、木下嘉人、井後麻友美とレベルの高いダンサー達の中心で、さまざまな顔、人格を見せる主役を踊ったのは石川真理子。キレのある動きから滑らかさまでを気持良く見せる身体能力はもちろん、それぞれの部分でそれぞれ感じさせる表現ができるダンサーだとあらためて。

Part.3では、矢上香織がビゼーの小組曲「子どもの遊び」に振付けた『子供の遊戯』を楽しみ、最後は『ライモンダ』三幕よりグラン・パ・クラシック。ライモンダ&ジャン・ド・ブリエンヌは井後麻友美&福岡雄大。華やかでキリッとした魅力の井後と、冒頭に書いたように、ここでは温かみも感じさせる福岡の、もちろん、テクニックも存在感もたっぷりの踊り。福田や木下も出演し、壮麗に幕を閉じた。
(2024年9月15日 吹田メイシアター)

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『Multiplex Personality』
石川真理子、福岡雄大、福田圭吾、木下嘉人、井後麻友美
撮影:田中聡(テス大阪)

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『Multiplex Personality』
石川真理子、福岡雄大、福田圭吾、木下嘉人、井後麻友美
撮影:田中聡(テス大阪)

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『Multiplex Personality』
石川真理子、福岡雄大、福田圭吾、木下嘉人、井後麻友美
撮影:田中聡(テス大阪)

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『ライモンダ』三幕よりグラン・パ・クラシック
ジャン・ド・ブリエンヌ:福岡雄大
撮影:田中聡(テス大阪)

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『ライモンダ』三幕よりグラン・パ・クラシック
ライモンダ:井後麻友美、ジャン・ド・ブリエンヌ:福岡雄大
撮影:田中聡(テス大阪)

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