飯島望未&速水渉悟主役、末原雅広振付の『シンデレラ』全幕を中心に──ソウダバレエ50周年第25回記念公演
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ワールドレポート/大阪・名古屋
すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna
ソウダバレエ
『シンデレラ』末原雅広:改訂振付
プリンシパルなど主役級だけでも国内外で活躍するダンサーを、数え切れないほど育ててきた宗田静子が主宰するソウダバレエ。ドレンデンを経てK-BALLET TOKYOの初期に活躍した康村和恵、2000年のローザンヌ国際バレエコンクールで3人同時に受賞した坂地亜美、木田真理子、清水健太、ワシントンの木村綾乃にドレスデンの藤本佳那子、国内でもチャイコフスキー記念東京バレエ団の涌田美紀などをはじめ、書いていると記事がそれだけでいっぱいになってしまいそう。その50周年で、公演としては25回記念という節目。やはりここで育ち、現在、K-BALLET TOKYOで活躍する飯島望未と新国立劇場バレエ団の速水渉悟主演の『シンデレラ』をメインに、出身で国内外で踊るダンサーたちが多数集い華やかな舞台が繰り広げられた。
『白鳥の湖』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ
藤井彩嘉、清水健太
撮影:薮内優美(テス大阪)
『Putain de.』(振付:磯見源)
撮影:薮内優美(テス大阪)
まず幕開けは、チェコ国立バレエでプリンシパルを務める藤井彩嘉と清水健太による『白鳥の湖』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ。海外で踊っている人らしい表現が大きく華やかな藤井のオディールに信頼感溢れる清水の王子。続いては、マルセイユ・バレエで活躍後、日本に活動の拠点を移している磯見源振付のコンテンポラリー『Putain de.』を本人含むレベルの高いダンサー10人で観せた。
そして『シンデレラ』。多くの舞台でダンサーとして活躍する末原雅広が初めて全幕バレエの振付に挑んだ。奇をてらうことなく、観客が観やすい演出。自らもダンサーとして日々活動する人だからこそだろう、主役はもちろん、脇役に関してもダンサーたちをよく活かして創りあげていた。シンデレラの飯島は愛らしい容姿に繊細な演技で物語の世界に引き込み、王子の速水は、登場早々、鮮やかな多回転で湧かせ、端正で達者な踊りを楽しませてくれた。
継母はなんと、清水健太。長身でのダイナミックな演技で姉の吉村茜、妹の椿井愛実とともに迫力たっぷりに笑いを誘った。また、仙女は西村奈恵、陽性と評して良いだろうか? 1幕終盤のシンデレラを舞踏会へ誘う場面、喜びが舞台上に溢れるようで、観ている私たちもキラキラした気分になった。
(2024年7月21日 あましんアルカイックホール)
シンデレラ:飯島望未、継母:清水健太、姉:吉村茜、妹:椿井愛実
撮影:薮内優美(テス大阪)
『シンデレラ』
シンデレラ:飯島望未、仙女:西村奈恵
撮影:テス大阪
『シンデレラ』王子:速水渉悟
撮影:薮内優美(テス大阪)
『シンデレラ』シンデレラ:飯島望未
撮影:薮内優美(テス大阪)
『シンデレラ』王子:速水渉悟
撮影:薮内優美(テス大阪)
シンデレラ:飯島望未、王子:速水渉悟、仙女:西村奈恵
撮影:薮内優美(テス大阪)
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