浅野真奈&福永理王がフレッシュな魅力で主演、ヒラリオンの大巻雄矢の味のある演技も光った、Y.S.BALLET COMPANY山本庸督振付『ジゼル』

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

Y.S.BALLET COMPANY

『ジゼル』山本庸督:振付

Y.S.BALLET COMPANYの16回目の公演は山本庸督振付『ジゼル』。オーソドックスな演出のなかに、物語に沿った納得の行くオリジナリティーを持った工夫が散りばめられており興味深く観た。

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ジゼル:浅野真奈、アルブレヒト(ロイス):福永理王 撮影:尾鼻文雄(Office Obana)

幕開け間もなく登場するヒラリオンは大巻雄矢。スロベニア・バレエで活躍する彼は主役を重ねるダンサーだが、今回は脇にまわり、とても説得力のあるヒラリオンを演じていた。野の花と獲物を、おだやかな表情でジゼルの家に捧げる姿は純朴でまっすぐな青年、ヒラリオンは何も悪くないのに......と、その後の物語を頭に浮かべながら、あらためて思う。その後、全幕を通じて、その時、その時の想いの表現が細やかで、さすがだった。その彼を好意的にみているジゼルの母ベルタは髙井香織で、彼女もまた多くの舞台経験を重ねたからこその繊細で説得力のある演技が良い。

そして、ジゼル役は浅野真奈。登場は明るく素直な印象、1幕のヴァリエーション、喜びが広がるようなマネージが印象的。アルブレヒト(ロイス)は福永理王でフレッシュで素直。後半に向かってどんどん役に入っているように感じられ、2幕のヴァリエーションの、想いがほとばしるような踊りに引き込まれた。
演出の特徴でもっとも強く印象に残ったのは、1幕の終わり、ジゼルの状態を見て、アルブレヒトが何をしたのか察したバチルド(辰己桃里)は、アルブレヒトの頬を平手打ちする。初めて観る演出だが、バチルド、格好いい。そう、悪いのは身分を隠して別の恋をしたアルブレヒトなのだ。

また、岡本三友優、村越南月、豊永太優、待山貴俊4人でのペザントはそれぞれ実力派ダンサーで踊りを楽しませてくれたし、ミルタの田中佐季は少し硬さも感じたものの威厳と迫力があり、ドゥ・ウィリーの中浜のぞみと伊藤惠は知性を感じさせた。コール・ド・バレエも丁寧に心を合わせて踊っていて好感が持てた。
(2024年8月3日 東大阪市文化創造館大ホール)

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ペザント:岡本三友優、村越南月、豊永太優、待山貴俊 
撮影:尾鼻文雄(Office Obana)

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ジゼル:浅野真奈、ベルタ:髙井香織
撮影:尾鼻文雄(Office Obana)

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ミルタ:田中佐季 撮影:尾鼻文雄(Office Obana)

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ドゥ・ウィリー:中浜のぞみ 撮影:尾鼻文雄(Office Obana)

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ミルタ:田中佐季 撮影:尾鼻文雄(Office Obana)

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ミルタ:田中佐季、ヒラリオン:大巻雄矢 撮影:尾鼻文雄(Office Obana)

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ジゼル:浅野真奈、アルブレヒト(ロイス):福永理王 撮影:尾鼻文雄(Office Obana)

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