望月則彦振付「マルグリット」佐多達枝振付『カルミナ・ブラーナ』ほか─神原ゆかり還暦記念、ゆかりバレエ公演2023
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ワールドレポート/大阪・名古屋
すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna
神原ゆかりの還暦記念ということで、望月則彦振付『「マルグリット」〜椿姫』より抜粋や佐多達枝振付『カルミナ・ブラーナ』と見応えある作品が並んだプログラム。そして、そのメインどちらの演目でも神原自身が還暦とは信じられない身体能力に、経験を積み重ねたからこその表現力で主要な役割を担った。
『Strength』長谷川由衣
© エー・アイ 撮影:飯島直人
幕開けの第1部は作品集で、さまざまな創作の小品を上演。神原振付の『Reconer』を踊った南野高廣の柔らかみを感じさせる筋肉でのメリハリを持った動きが目を引いたとともに、Benjamin Briones振付の『Strength』を踊った長谷川由衣のスケール大きな踊りにも引き込まれた。そして、この1部の最後は谷桃子バレエ団の齊藤耀と牧村直紀による『ロミオとジュリエット』よりバルコニーのパ・ド・ドゥ。明るさを感じさせる齊藤のジュリエット、二人の恋の高まりがストレートに感じられるパ・ド・ドゥに仕上がっていた。
そして、ちょうど10年前に惜しまれながら他界してしまった望月則彦振付の『「マルグリット」〜椿姫』より抜粋。マルグリット・ゴーティエを神原ゆかり、アルマン・デュヴァルを今井智也、ムッシュウ・デュヴァル(アルマンの父)を梶田眞嗣。それぞれの場面で、それぞれの登場人物の想いが伝わり、とてもドラマティック。同時に、踊るダンサー達のこの望月作品への愛情がしみじみと感じられた。ラストのマルグリットの死に、赤い椿の花びらがはらはらと振って来る場面、悲しい美しさに、舞台でのマルグリットの死とともに10年前に逝ってしまった望月の死についても想った。
ラストの佐多達枝振付『カルミナ・ブラーナ』は、この団体で何度も再演を重ねている演目。さすがに群舞の隅々まで想いが一つになっていることを感じた。人間の生き様、運命を、飾らず力強く表現する作品。今回、神原と牧村が中心を担ったが、実際に親子である二人、人間の"生"とは? といったことに想いを馳せさせてくれた。
(2023年10月1日 愛知県芸術劇場小ホール)
『ロミオとジュリエット』よりバルコニーのパ・ド・ドゥ
齊藤耀、牧村直紀
© エー・アイ 撮影:飯島直人
『「マルグリット」〜椿姫』より抜粋
マルグリット・ゴーティエ:神原ゆかり、アルマン・デュヴァル:今井智也
© エー・アイ 撮影:飯島直人
『「マルグリット」〜椿姫』より抜粋
マルグリット・ゴーティエ:神原ゆかり、アルマン・デュヴァル:今井智也
© エー・アイ 撮影:飯島直人
『「マルグリット」〜椿姫より 抜粋』
マルグリット・ゴーティエ:神原ゆかり、アルマン・デュヴァル:今井智也
© エー・アイ 撮影:飯島直人
『カルミナ・ブラーナ』
© エー・アイ 撮影:飯島直人
『カルミナ・ブラーナ』神原ゆかり、牧村直紀
© エー・アイ 撮影:飯島直人
『カルミナ・ブラーナ』
© エー・アイ 撮影:飯島直人
『カルミナ・ブラーナ』中央:神原ゆかり、牧村直紀
© エー・アイ 撮影:飯島直人
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