金子扶生&ワディム・ムンタギロフを筆頭に、ヨーロッパを中心に世界で活躍するダンサーが集った「アーティスティック・バレエ・ガラ2023」

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

アーティスティック・バレエ・ガラ2023

矢倉鈴奈:企画・構成・演出

ヨーロッパを中心に世界で活躍するダンサー達が、クラシックはもちろん、それぞれが活躍するバレエ団でのレパートリーを披露してくれるアーティスティック・バレエ・ガラも7回目を迎えた。

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『ドン・キホーテ』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ
大谷遥陽、アイトール・アリエタ・コカ
© BALLET OFFICE JAPAN

今回もレベルの高いダンサー達が集結。特に印象に残ったものをご紹介したい。
まず幕開けは、ウィーン国立バレエ団の橋本清香と木本全優による『シルビア』よりパ・ド・ドゥ。マニュエル・ルグリ版だ。二人とも長身でスケールの大きな踊り、メリハリの良さも印象に残った。続いてはイングリッシュナショナル・バレエの大谷遥陽とアイトール・アリエタ・コカによる『ドン・キホーテ』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ。大谷は昨年移籍する前はスペイン国立ダンスカンパニーで活躍していたダンサー、本当に身体にスペインの香りが沁みついているといえば良いだろうか、スペインマダムの明るい色っぽさのようなものが出て、とても良く、ダブルフェッテを連続するなどテクニックでも湧かせてくれた。ウエスト・オーストラリアン・バレエの野村千尋と松井学郎による『The Great Gatsby』よりパ・ド・ドゥは、古き良きアメリカの香り溢れる作品。物語をスライドで説明しながら、ピックアップシーンを観せていく構成で、日本では観る機会のなかなかない作品が興味深い。

そして、英国ロイヤル・バレエ団の金子扶生とワディム・ムンタギロフの『グラン・パ・クラシック』よりグラン・パ・ド・ドゥがまた素晴らしい。金子の華を持った気品と、しなるような美しさの身体のライン、ムンタギロフの軽さを持ち喜び溢れるアントルシャ、喜びが会場中に広がるような祝祭的な魅力だ。

第2部の最初には、原田みのるの振付で、ウクライナのオデッサから避難しているマーラ・バレリアを中心に群舞とともに『Invisible something』。河野舞衣と北井僚太の『ジゼル』第2幕よりパ・ド・ドゥもしみじみとした想いがまっすぐに伝わり良かった。橋本清香と木本全優の ヌレエフ版『ドン・キホーテ』第2幕よりアダージョは大人の魅力。

ラストは、金子扶生とワディム・ムンタギロフの『コッペリア』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥで、全幕の中のこの部分だけながら、感情流れがスムーズに伝わるのはさすが。コーダの金子のダブルを入れたフェッテも、音の中でスムーズにダブルが入っていて心地よかった。
(2023年8月6日 NHK大阪ホール)

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『シルビア』よりパ・ド・ドゥ
橋本清香、木本全優 © BALLET OFFICE JAPAN

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『The Great Gatsby』よりパ・ド・ドゥ
野村千尋、松井学郎 © BALLET OFFICE JAPAN

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『グラン・パ・クラシック』よりグラン・パ・ド・ドゥ
金子扶生、ワディム・ムンタギロフ © BALLET OFFICE JAPAN

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『グラン・パ・クラシック』よりグラン・パ・ド・ドゥ
金子扶生、ワディム・ムンタギロフ © BALLET OFFICE JAPAN

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『Invisible something』マーラ・バレリア、ほか
© BALLET OFFICE JAPAN

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『ジゼル』第2幕よりパ・ド・ドゥ
河野舞衣、北井僚太 © BALLET OFFICE JAPAN

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『ドン・キホーテ』第2幕よりアダージョ 橋本清香、木本全優 © BALLET OFFICE JAPAN

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