原美香が山本隆之をパートナーに踊った山本康介振付の新作『「Hommage」〜オマージュ〜』など、原美香バレエスタジオ

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

原美香バレエスタジオ The 10th Performance

『「Hommage」〜オマージュ〜』山本康介:振付

宮下靖子バレエ団のプリマを長年務め、海外での経験も経て、2010年には自ら主宰する原美香バレエスタジオをスタートさせた原美香。その10回目の舞台であるとともに、原の還暦記念でもあるという(芯が強くも、とても還暦とは思えない可憐な容姿だが)。そんな節目ということで、今回山本康介に新作振付を依頼。

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『「Hommage」〜オマージュ〜』
原美香、山本隆之 撮影:岡村昌夫(テス大阪)

『「Hommage」〜オマージュ〜』という作品が完成し、山本隆之をパートナーに踊った。三曲で構成された作品で、一曲目と三曲目は、クララ・シューマンの『四つの束の間の小品』No.1とNo.3、二曲目はその夫であり有名な作曲家ロベルト・シューマンの『リーダークライス』No.5。夫婦である二人の曲をピアニストの佐藤美和が演奏するのに乗せて、人生をともに生きる中での様々な局面、それぞれの想いのあり方などを穏やかなトーンを基調にしながらメリハリを持って描いた。
踊った原美香と山本隆之は、さすがに舞台経験の豊富さはもちろん、人生経験も豊富に重ねたからこその表現を観客に観せることのできるダンサーだと実感。言葉では言い尽くせないだろう微妙な心情がしみじみと伝わった。「いろいろあったけれど、これからもよろしく」──そんな言葉が聞こえて来るように手を取り、お互いを大切に寄りそうラストが心に沁みた。

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原美香、山本隆之
ピアノ演奏:佐藤美和 撮影:岡村昌夫(テス大阪)

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『「Hommage」〜オマージュ〜』
原美香、山本隆之 撮影:岡村昌夫(テス大阪)

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『白鳥の湖』より
オデット:本田彩香 撮影:岡村昌夫(テス大阪)

そして、最後の演目は『白鳥の湖』より。スタイル良く初々しい本田彩香のオデット、他の舞台でも印象深かった矢部希実加のオディール、安定感のある青木崇の王子に山口章のロットバルト、存在感たっぷりの西尾睦生の王妃と、見応えあるダンサー陣を中心に上演。これから伸びそうな若手も何人か目に付いた。その中で特に印象に残ったのは、花嫁候補の1人で、別演目では『パキータ』よりパ・ド・トロワを踊っていた村田結莉。人を惹きつけるものを持ったダンサーの卵、そんな風に感じた。ぜひ、良い方向に成長して欲しいと想う。
(2023年6月11日 ロームシアター京都・メインホール)

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『白鳥の湖』より
オディール:矢部希実加、王子:青木崇、ロットバルト:山口章 撮影:岡村昌夫(テス大阪)

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『白鳥の湖』より
オディール:矢部希実加、王子:青木崇 撮影:岡村昌夫(テス大阪)

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『白鳥の湖』より
オディール:矢部希実加、王子:青木崇、ロットバルト:山口章 撮影:岡村昌夫(テス大阪)

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『白鳥の湖』より
オデット:本田彩香、王子:青木崇 撮影:岡村昌夫(テス大阪)

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