ウィットに富んだ一柳麗作品の数々に松浦景子も出演した

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

REI*ISM第4回公演「Catch Me If You Can 4」

一柳麗:振付

最近、さまざまなコンサートで観て、そのセンスが気になっていた一柳麗の振付作品を中心に、クラシックのグラン・パ・ド・ドゥも踊られた舞台。関西を中心に活躍するダンサーたちが所属を超えて出演し、バレリーナ芸人・松浦景子もコミカルな役柄のみならずバレエの実力を観せてくれた。
16作品が上演されたが、特に印象に残ったものについて触れたい。

ハットにステッキを持ってのショーダンス的な『Sparkling Overture〜輝きの序曲〜』(振付:一柳麗)で楽しく幕開け。太田幸希、片岡典子、北沙彩、村中智、矢部希実加、吉田裕香、6人の女性が踊った『Ein Wiener Walzer』(振付:一柳麗)は、それぞれの雰囲気に合ったゆるやかなウェーブヘアが、まるでヘアカタログを見ているよう。トゥ・シューズを履いているわけではないのに、まるで履いているような爪先まで伸びた脚や身のこなしの優雅さにバレエで磨かれた女性の美しさをしみじみ。
ウクライナなどで良く上演される子供向けバレエ『チポリーノ』からのパ・ド・ドゥを岡本玲奈と有馬和弥が踊ったのも良かった。日本で観る機会はなかなかない踊り。ラディッシュと玉ねぎに扮した2人が可愛らしく、そしてもちろん、バレエ技術も高い。

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『Concerte Grosso』太田幸希、佐藤唯
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『Concerte Grosso』太田幸希
@STAGEGRAPHICA

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『Concerte Grosso』@STAGEGRAPHICA

白の魅力をトゥ・シューズで観せてくれた『Concerte Grosso』(振付:一柳麗)などを経て、ストーリーを持って楽しませてくれたのがシャンパンのあるバーを舞台にした『Bubbles in the Wine』(振付:一柳麗)。
すかした女(片岡典子)、こじらせる女(河森睦生)、変わらない女(松浦景子)、モテるはずの男(弓場亮太)、自分の世界がありすぎる男(胡駿)といった人物設定で、人間模様が描かれた。3人のソムリエールの中心を一柳自身が踊り、表情豊かに作品を引っ張る。後半の、パジャマパーティのように楽しく、ちょっとヘン系(?)な踊りも可愛らしかった。

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『Bubbles in the Wine』@STAGEGRAPHICA

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『Bubbles in the Wine』@STAGEGRAPHICA

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『Bubbles in the Wine』@STAGEGRAPHICA

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『Bubbles in the Wine』@STAGEGRAPHICA

終盤は、『眠れる森の美女』の6人の妖精を一柳麗が改訂しての『Six Fairies』(出演は、宮原詩音、大成遼、谷口玲央、中田みなみ、林田まりや、的場涼香)、そしてラスト、片岡と青木崇を中心に、華やかに『vivace absolute』で締めくくった。
全体におしゃれ、カッコいい、可愛い、ウィット......そんなあれこれが散りばめられた公演だった。
(2023年4月8日 兵庫県立芸術宇文化センター・阪急中ホール)

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『Six Fairies』宮原詩音、大成遼、谷口玲央、中田みなみ、林田まりや、的場涼香 @STAGEGRAPHICA

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