貞松・浜田バレエ団がオハッド・ナハリン振付を日本初演──「創作リサイタル34」

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

貞松・浜田バレエ団「創作リサイタル34」

『Kamuyot』オハッド・ナハリン:振付

文化庁芸術祭大賞を受賞した『DANCE』、武藤天華が同新人賞を受賞した『BLACK MILK』といったオハッド・ナハリン作品を上演してきた貞松・浜田バレエ団。今回、ナハリンの本拠地イスラエルで、学校公演としてよく上演されているという『Kamuyot』を日本初演した。
会場は、輸出生糸の検査所として建てられた旧神戸市立生糸検査所。現在、デザインクリエイティブセンター神戸となっているこのこの建物にある広大なスペースKIITOホール。四方に観客席が設置され、観客に囲まれる形でパフォーマンスが繰り広げられた。

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『Kamuyot』撮影:古都栄二(テス大阪)

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小澤日向花(中央) 撮影:古都栄二(テス大阪)

踊ったのは、15人の男女、とても身体の効くダンサーたち。チェック柄を取り入れたスクールガール、スクールボーイを思わせるポップな衣装に身を包み、まずは、観客席の所々で周囲の観客と会話するところから始まった。私の隣にもダンサーが現れ、世間話に。そして、対角線上の観客席を見て、「あそこにいるの、僕の母と妹なんですよ」と。「えっ、どの人?」、「あ、あの子、すごく歳、離れてない?」と、普通の会話が進む。
そんなに穏やかだったのに、いざ、中央エリアでのダンスが始まると、キレッキレッ! とい言う言葉ピッタリな、とにかく身体能力が素晴らしく、目が離せない激しいダンス。声を使うなど変化に富む構成で、それぞれのダンサーの個性、持ち味の違いも楽しめ、床を頬を赤らめながら仰向けで横切る美少女(シャンティ紀奈)の不思議な魅力には目が釘付けになった。
ダンサーに誘われ、中央フロアに出て、私自身も見よう見まねで身体を動かした部分も。なんだか楽しい──観て楽しく、参加して楽しい。ダンスの楽しさって、両方味わうと倍増するような?
以前ナハリン振付『DANCE』でも観客を誘って舞台に上げていたけれど、これはもっと身近な形で仲間に引き込むような。学校はもちろん、高齢者施設や病院、広く一般の方に向けたイベントなどでも行うと、ダンスの楽しさを広く知っていただけそうだ。それもこれも、このように目が離せないレベルダンサーで上演されてこそだが。
踊る楽しさを広く伝えられそうな作品、また違った場、違った観客層で上演されるのも観てみたいと強く思う。
(2023年2月26日 デザインクリエイティブセンター神戸 KIITOホール)

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切通理夢 撮影:古都栄二(テス大阪)

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小林奈央 撮影:古都栄二(テス大阪)

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水城卓哉 撮影:古都栄二(テス大阪)

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『Kamuyot』撮影:古都栄二(テス大阪)

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宮本萌(中央) 撮影:古都栄二(テス大阪)

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