30回目の節目に『眠れる森の美女』全幕を山田梨央と豊永太優の主演で上演──北山大西バレエ団

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

北山大西バレエ団 第30回公演

『眠れる森の美女』山田香、山田梨央:振付、他

「ねずみ小僧」をバレエにするなど、独特の作品をオリジナリティ豊かに生み出してきた北山大西バレエ団。30回目を迎えた今回の公演は、クラシック・バレエの原点を追求することにかえったように『眠れる森の美女』全幕がメイン演目だった。
幕開けの1部は、代表の北山大介が指導するボイストレーニングクラスの歌や新体操などが入ったバラエティに富んだプログラム。そのなかで、最近、PBK第15回京都バレエコンクール男性小学生の部で1位に輝くなどしている安田鶴洋の『白鳥の湖』よりジークフリート王子のヴァリアシオンが目を引いた。真っ直ぐな軸を大切にした素直な踊り、真摯にバレエに取り組んでいることが感じられる少年、大切に育てて行って欲しい。

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オーロラ姫:山田梨央、4人の王子:津村祐樹、有馬和弥、田中陣之介、安田鶴洋
撮影:スタジオフォーマット

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フロリナ王女:大谷美夢羽、青い鳥:有馬和弥

撮影:スタジオフォーマット

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オーロラ姫:山田梨央、デジレ王子:豊永太優
撮影:スタジオフォーマット

そして2部が『眠れる森の美女』全幕。オーロラ姫を踊ったのは山田梨央。持ち前の柔らかく優しい雰囲気を活かしながら丁寧に役に取り組んだ。演技もやりすぎることのない自然なもので好感。3幕のグラン・パ・ド・ドゥでは、ふわーっとした幸せ感が広がった。王子の豊永太優は経験の積み重ねを感じさせる信頼感を持って山田をリード、良い雰囲気に仕上がった。
リラの精とフロリナ王女、そんな大役を両方踊った大谷美夢羽は、堂々とした風情で、青い鳥の有馬和弥は、さすがのしなやかなテクニックで楽しませてくれた。カラボスの沖潮隆之が物語全体を引き締めていたことも印象に残った。
また、第1部のところで書いた安田鶴洋はこの全幕でも、カタラビュット、ガリソン、狼、それに4人の王子もと多様な役を踊った。先輩の男性プロダンサーとの舞台が彼の大きな学びになっているのではないかと想像する。
(2023年2月5日 大阪国際交流センター大ホール)

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リラの精:大谷美夢羽、優しさの精:赤川遥柳、元気の精:李雨桐、呑気の精:坂本美優、鷹揚の精:龍王彩伊、勇気の精:赤川安未
撮影:スタジオフォーマット

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カラボス:沖潮隆之、国王:北山大介、王妃:内田郁子
撮影:スタジオフォーマット

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オーロラ姫:山田梨央、カラボス:沖潮隆之、国王:北山大介、王妃:内田郁子
撮影:スタジオフォーマット

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オーロラ姫:山田梨央、デジレ王子:豊永太優
撮影:スタジオフォーマット

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オーロラ姫:山田梨央、デジレ王子:豊永太優  撮影:スタジオフォーマット

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