青柳いづみこ・藤井快哉のピアノデュオに乗せて、関典子が『パラード』を新作初演──ダンスとピアノ・デュオの競演「踊る牧神」
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ワールドレポート/大阪・名古屋
すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna
ダンスとピアノ・デュオの競演「踊る牧神」
『牧神とニンフの午後』『パラード』関典子:振付
『牧神とニンフの午後』ダンス:関典子
ピアノ:青柳いづみこ、藤井快哉 撮影:植村耕司
ドビュッシー研究の第一人者と言われるピアニストで文筆家の青柳いづみこと藤井快哉のピアノ・デュオに乗せて、関典子が自作を2つ踊ってくれた。
開演して、まずはピアノのみで、ラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』、ドビュッシーの小組曲『スコットランド行進曲』(中村徹&中村健編)。
そしてダンスが入るのが、まず、ドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』(高橋悠治編)。昨年2月に伊丹で初演された関典子振付『牧神とニンフの午後』。黒い立方体の上で踊る関は、銅像のようでもあり、ニジンスキーの『牧神の午後』を思わせる親指を突き立てる形などを見せる。牧神と女神を1人で両方踊っているように私には思えて興味深かった。
休憩を挟んで、関が振付けて踊る新作初演の『パラード』。あのバレエ・リュスでエリック・サティの音楽にレオニード・マシーンが振付けて、ピカソの舞台美術で上演された奇想天外な『パラード』を、現代に身を置く関典子版で。これがとても楽しかった。いろいろなモノが隠された大きな箱を中央に関が踊る。ピアノ演奏の舞台ながら、バレエリュスでの初演時にサイレンやタイプライターの音等々、いろいろな音を出したのと同様に、関がそんな様々な"楽器"というわけではないものが発する音を鳴らしながらはしゃぎまわる。その、目を輝かせた姿は、悪戯を覚えたばかりの幼児のようで、とても可愛らしく見えた。そして、シンプルなパーカーを大きく上に掲げるといった形で、身近なものを使って、あのピカソの美術を思わせるものをパッと私達観客に見せる。
小ホールでピアノ演奏とソロダンスと、出来ることが限られているだろう条件の中、関が作品をよく研究している人だからこそ、そしてオリジナリティを持ったダンスを創ることができる人だからこそ、と実感した舞台だった。
(2023年1月18日 兵庫県立芸術文化センター・神戸女学院小ホール)
『牧神とニンフの午後』ダンス:関典子
ピアノ:青柳いづみこ、藤井快哉 撮影:植村耕司
『牧神とニンフの午後』ダンス:関典子
ピアノ:青柳いづみこ、藤井快哉 撮影:植村耕司
『パラード』ダンス:関典子
ピアノ:青柳いづみこ、藤井快哉 撮影:植村耕司
『パラード』ダンス:関典子
ピアノ:青柳いづみこ、藤井快哉 撮影:植村耕司
『パラード』ダンス:関典子
ピアノ:青柳いづみこ、藤井快哉
撮影:植村耕司
『パラード』ダンス:関典子
ピアノ:青柳いづみこ、藤井快哉
撮影:植村耕司
『パラード』ダンス:関典子
ピアノ:青柳いづみこ、藤井快哉
撮影:植村耕司
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