テアトル・ド・バレエカンパニーの40周年記念公演として深川秀夫版『ドン・キホーテ』を上演

ワールドレポート/名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

テアトル・ド・バレエカンパニーメモリアル公演

『ドン・キホーテ』深川秀夫:振付

塚本洋子が主宰するテアトル・ド・バレエカンパニーが40周年記念として、二夜にわたる公演を行った。11月23日には「オータム・バレエ・ガラコンサート」。私は25日の深川秀夫版『ドン・キホーテ』を観た。

プロローグ、可愛らしい3人のキューピットが見守る中、サンチョ・パンサ(窪田弘樹)に鎧などを着けてもらい旅の準備をするドン・キホーテ(岩本正治)。
幕が開くと、大人数の華やかなセキディリアの群舞に一気に引き込まれた。タイミングもぴったりと合った良いコール・ド・バレエだ。
次にメルセデスの中村友子の美しさと踊りに目が釘付けになった。エスパーダの青木崇とともに舞台に出るだけで人を惹きつけるダンサーだと実感。そして、キトリの永田瑞穂は明るく素直な踊りに好感、ベテラン梶田眞嗣の、やんちゃな魅力を持ったバジルとともに物語を運んでいった。

テアトル・ド・バレエカンパニー40周年公演 撮影:岡村昌夫(テス大阪)01109.jpg

『ドン・キホーテ』キトリ:永田瑞穂
撮影:岡村昌夫(テス大阪)

テアトル・ド・バレエカンパニー40周年公演 撮影:岡村昌夫(テス大阪)01134.jpg

キトリ:永田瑞穂、バジル:梶田眞嗣、キトリの友人:日下部衿、池下みのり
撮影:岡村昌夫(テス大阪)

2幕のはじめに居酒屋という構成で、ここでバジルの狂言自殺があり、ジプシーのキャンプからドン・キホーテが見る夢の森へと進んで行く。ここでドルシネアを踊ったのは、キトリの永田ではなく谷口玲央。森の女王を加藤恵梨、キューピットを内藤瑞希が踊った。3人とも適材適所で実力派。なかでも、キューピットの内藤の正確でメリハリの効いた踊りが特に印象的。

そして3幕の結婚式。キトリの友人のヴァリエーションが5曲と盛りだくさん、第2ヴァリエーションは2人、他はソロで6人のソリストが踊る。それぞれの持ち味を活かした見応えのある踊りで、良い女性ダンサーが多数いる団体だとあらためて。また、幕を追うごとにこなれて伸び伸びとしていることが感じられた永田のキトリ、安心感のあるバジルの梶田のサポートのもとで、結婚の大きな喜びが表現された。
ラスト、喜びの大団円の中、キューピットがドン・キホーテを次の土地へと誘う。プロローグで見守っていた小さなキューピットに繋がっていくわけだが、これは深川版の特徴。キューピットがドン・キホーテの旅の案内人?、サポート役?──そんないろいろなことに思いを巡らせさせてくれる演出だ。
(2022年11月25日 愛知県芸術劇場大ホール)

テアトル・ド・バレエカンパニー40周年公演 撮影:岡村昌夫(テス大阪)01111.jpg

キトリ:永田瑞穂
撮影:岡村昌夫(テス大阪)

テアトル・ド・バレエカンパニー40周年公演 撮影:岡村昌夫(テス大阪)01382.jpg

キトリ:永田瑞穂、バジル:梶田眞嗣、キトリの友人:日下部衿、池下みのり
撮影:岡村昌夫(テス大阪)

テアトル・ド・バレエカンパニー40周年公演 撮影:岡村昌夫(テス大阪)01711.jpg

ドルシネア姫:谷口玲央、森の女王:加藤恵梨、キューピット:内藤瑞希
撮影:岡村昌夫(テス大阪)

テアトル・ド・バレエカンパニー40周年公演 撮影:文元克香(テス大阪)01417.jpg

キトリ:永田瑞穂、バジル:梶田眞嗣、ドン・キホーテ:岩本正治、ガマーシュ:高宮直秀、キトリの友人:日下部衿、池下みのり
撮影:文元克香(テス大阪)

テアトル・ド・バレエカンパニー40周年公演 撮影:岡村昌夫(テス大阪)8155.jpg

キトリ:永田瑞穂、バジル:梶田眞嗣、エスパーダ:青木崇
撮影:岡村昌夫(テス大阪)

テアトル・ド・バレエカンパニー40周年公演 撮影:岡村昌夫(テス大阪)8161.jpg

『ドン・キホーテ』フィナーレ
撮影:岡村昌夫(テス大阪)

記事の文章および具体的内容を無断で使用することを禁じます。

ページの先頭へ戻る