ローザンヌ・コンクール2位入賞の田中月乃から、今、世界で活躍するアクリ瑠嘉、菅井円加、大石裕香などが集った「ダンス・アット・ザ・ギャザリング2022」

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

「ダンス・アット・ザ・ギャザリング2022 ローザンヌ国際バレエコンクール出場者達の祭典」

法村牧緒:芸術監督、西尾智子:プロデューサー

見応えのあるガラだった。東條裕子バレエシアターの『Departure 旅立ち』で幕を開けた舞台。特に印象に残った演目をいくつか紹介したい。

今年のローザンヌ国際バレエコンクールで、第2位&ベスト・スイス賞に輝いた田中月乃の『ジゼル』のヴァリエーションは、踊る喜びいっぱいの華のある笑顔が、ジゼルと田中自身に重なるように思えた。彼女は、その後ノルウェー国立バレエに向かった。
島﨑徹がヨハネス・ブラームスの曲に振付けた『Absence of Story』は、北沙彩、相川友貴が踊った。大切な人だけれども離れなければいけない悲しみ、苦悩が心に響く。

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『ジゼル』ヴァリエーション 田中月乃
撮影:岡村昌夫(テス大阪)

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『Absence of Story』北沙彩、相川友貴
撮影:岡村昌夫(テス大阪)

クララ・ムセーニュが踊った『白の組曲』よりシガレット は、踊る彼女の内面的な強さが感じられる踊り。
中島麻美と大巻雄矢が踊ったのは、2人が所属するスロベニア国立歌劇場芸術監督のエドワード・クルッグ振付『Radio and Juliet』。クルッグの振付は世界的に注目されているが、日本で観る機会は残念ながら少なく、グルッグ作品をよく知る2人の踊りを観ることができるのは貴重な機会。独特な動きにセンスの良さが感じられ、惹きつけられる、何度も観たくなる魅力。
クラシックの上品な魅力を満喫させてくれたのは加瀬栞と厚地康雄の『眠れる森の美女』よりグラン・パ・ド・ドゥ。ジュリア・ロスコとアクリ瑠嘉の『ラ・シルフィード』よりパ・ド・ドゥではアクリの美しい甲でのアレグロのパに目が釘付けになった。

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『Radio and Juliet』中島麻美、大巻雄矢
撮影:岡村昌夫(テス大阪)

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『眠れる森の美女』よりグラン・パ・ド・ドゥ
加瀬栞、厚地康雄
撮影:岡村昌夫(テス大阪)

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『ラ・シルフィード』よりパ・ド・ドゥ
ジュリア・ロスコ、アクリ瑠嘉
撮影:文元克香(テス大阪)

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『カルメン』大石裕香
撮影:岡村昌夫(テス大阪)

大石裕香は自作自演ソロの『カルメン』。力強さ、はしゃぐような楽しげな様子などカルメンの様々な魅力を短いなかに凝縮。振付、踊りともにさすが。

そしてラストは、菅井円加と二山治雄の『エスメラルダ』よりグラン・パ・ド・ドゥ。この2人は写真を観るよりも動いている時、つまり踊ると、素晴らしい魅力が溢れるのだと実感。テクニック高く気持ちの良い踊りなのはもちろん、二山のスケールの大きさを感じる踊り、菅井のヨーロッパ的な気品も素晴らしかった。
日本から良いダンサー、振付家が続々と育っているのを実感した。
(2022年7月28日 兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール)

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『エスメラルダ』よりグラン・パ・ド・ドゥ 菅井円加、二山治雄  撮影:岡村昌夫(テス大阪)

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