若手伸び盛りのダンサーから、永久メイや成澤ガリームーリナ・マイカ、二山治雄など今をときめくダンサーたちが踊った、「BALLET AT A GATHERING」
- ワールドレポート
- 大阪・名古屋
掲載
ワールドレポート/大阪・名古屋
すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna
「BALLET AT A GATHERING」
末松かよ:プロデュース
さまざまコンクールでの上位入賞常連のジュニアや、海外留学中のジュニアから、プロとして歩み始めた若手ダンサー、既に実績を積んでいるダンサーまでが集った夏の舞台。
多くのフレッシュなヴァリエーションも踊られたが、パ・ド・ドゥなどを中心にご紹介したいと思う。
『グラン・パ・クラシック』よりグラン・パ・ド・ドゥを踊ったのは、藤本葉月と萩本理王。首が長く美しい藤本、優しい雰囲気とキリッとした魅力がそれぞれ良いタイミングで出る。萩本もノーブルな魅力を感じさせる伸びやか踊りが良かった。彼はこの秋、香港バレエ団に入団した。
マルガリータ・フェルナンデスと、2021年のローザンヌ国際バレエコンクールで1位に輝いたアントニオ・カサリーニョ。ともにポルトガル出身でミュンヘン・バイエルン国立歌劇場バレエ団で活躍する2人が踊ったのは『海賊』よりグラン・パ・ド・ドゥ。フェルナンデスの太陽のように明るく天真爛漫な魅力のメドーラ、カサリーニョの美しいスタイルでの気持ちの良い高テクニックでのアリ、とても鮮やかな踊りを満喫した。ポーランドのOpera Slaskaでソリストを務める奥野亜衣は『瀕死の白鳥』。毅然とした強い意志を感じさせる踊りが良い。
『グラン・パ・クラシック』よりグラン・パ・ド・ドゥ
藤本葉月、萩本理王
撮影:岡村昌夫(テス大阪)
『海賊』よりグラン・パ・ド・ドゥ
マルガリータ・フェルナンデス、アントニオ・カサリーニョ
撮影:岡村昌夫(テス大阪)
そして、マリインスキー・バレエのファースト・ソリスト、永久メイは、4人の王子(末松大輔、田中陣之介、萩本理王、森本晃介)とともに、『眠れる森の美女』よりローズアダジオ。高貴な存在であることが佇まいから伝わってくるオーロラ、優雅で知的な魅力もまとって本当に "特別な存在" と実感させる。王子の1人が花を捧げた時、いったん断り「踊りましょう」のマイム、そして、踊りの中で、王子それぞれから花を受け取っていく。そこにもさりげないストーリーが感じられ、なるほどと思いながら観た。
『眠れる森の美女』よりローズアダジオ
永久メイ、末松大輔、田中陣之介、萩本理王、森本晃介 撮影:岡村昌夫(テス大阪)
ラストは、国立モスクワ・クラシック・バレエ団ソリストの成澤ガリムーリナ・マイカと二山治雄の『薔薇の精』。成澤の少女らしくドラマティックな踊りはもちろん、とにかく二山が、難易度の高いテクニックをさも普通のことのように、難なく軽やかにこなすことが素晴らしく、人間ではなく本当に薔薇の花の妖精なのではないかと思ってしまった。
その後、ヴァリエーションを踊ったダンサーたちも全員舞台に出て、華やかなフィナーレで幕となった。
(2022年8月19日 長岡京記念文化会館)
『薔薇の精』成澤ガリムーリナ・マイカ、二山治雄 撮影:岡村昌夫(テス大阪)
撮影:岡村昌夫(テス大阪)
撮影:岡村昌夫(テス大阪)
記事の文章および具体的内容を無断で使用することを禁じます。