浅野真奈&大巻雄矢を主役にコッペリウスに待山貴俊を迎えて、山本庸督振付『コッペリア』
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ワールドレポート/大阪・名古屋
すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna
Y.S.バレエ・カンパニー
『コッペリア』山本庸督:振付
山本紗内恵が主宰するY.S.バレエ・カンパニーの14回目の公演。この団体からは海外で活躍するダンサー、活躍を経験したダンサーが複数育っており、そんなダンサーたちも出演する夏の舞台は、見応えがあると同時に、里帰りのようなアットホームな雰囲気に包まれる。
演目は、アメリカでの活躍を経て、日本の様々な舞台で踊る山本庸督が振付けた『コッペリア』。浅野真奈のスワニルダ、この団体で育ちスロベニア国立歌劇場マリボルで活躍する大巻雄矢をフランツに上演された。
スワニルダ:浅野真奈、フランツ:大巻雄矢、コッペリウス:待山貴俊、コッペリア:玉置悠華
撮影:尾鼻文雄
浅野のスワニルダは、クルクルと変わる表情の豊かさで物語に引き込む。ヴァリエーションでは、彼女らしい強弱を付けた達者な踊りが目を引いた。大巻はやんちゃな雰囲気がフランツにピッタリ。加えて、スロベニアで日々主役を踊るダンサーらしく、伸び伸びとした高度なテクニックはさすが。彼の気持ちの良いジャンプを観ていると、それだけで幸せな気分になってくる。コッペリウスは待山貴俊で、彼が高テクニックだけでなく、繊細な表現をする演技派であることも実感。
脇もピリッとスパイスのような魅力が散りばめられていて、振付者でもある山本庸督が演じた神父は、戯画的といえば良いだろうか、オーバーな表現がコミカルで、クスッと笑ってしまう魅力。また、2幕のコッペリウスの家の2階の場面で、ビックリ箱から飛び出した人形は山本勝利。この団体出身で、ドイツ州立アウグスブルク・バレエのソリストだ。これは、プログラムにも載っていないサプライズ。
3幕、怒るコッペリウスに謝るスワニルダが彼をギュッと抱きしめ、コッペリウスの気持ちが溶けていく演出が秀逸。ラスト、彼は、家にスワニルダ&フランツを招き、バルコニーに、2人とコッペリア&コッペリウスが4人仲良く並ぶラストが微笑ましかった。
(2022年8月6日 東大阪文化創造感大ホール)
スワニルダ:浅野真奈 撮影:尾鼻文雄
スワニルダの友人たち 撮影:尾鼻文雄
箱から飛び出す人形:山本勝利
撮影:尾鼻文雄
スワニルダ:浅野真奈、コッペリウス:待山貴俊
撮影:尾鼻文雄
コッペリウス:待山貴俊
撮影:尾鼻 葵
スワニルダ:浅野真奈、フランツ:大巻雄矢
撮影:尾鼻文雄
スワニルダ:浅野真奈、フランツ:大巻雄矢 撮影:尾鼻文雄
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