奥村唯&石神航一主演の『シンデレラ』と小野絢子&奥村康祐主演の『ジゼル』──地主薫バレエ団「未来に繋がるダブル・ビル」

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

地主薫バレエ団「未来に繋がるダブル・ビル」

『シンデレラ』『ジゼル』改定振付:地主薫

撮影:尾鼻-葵-3219.jpg

『シンデレラ』
シンデレラ:奥村唯、フォーチュン王子:石神航一
撮影:尾鼻 葵

1幕にまとめたコンパクトな『シンデレラ』と『ジゼル』全幕という見どころたっぷりなダブルビル。直前に、この団体出身でサンフランシスコ・バレエ、プリンシパルの倉永美沙が来日出来なくなったことで、急遽、『ジゼル』主役が小野絢子に変更になるなど、いくつかのキャスト変更があったが、充実した舞台に仕上がっていた。ジゼル&アルブレヒトが小野と奥村康祐だったわけだが、秋に、彼らが在籍する新国立劇場バレエ団で上演される予定の新制作『ジゼル』もこの2人での主演が予定されているので、そちらはどんな風にまるのだろうかといった想像も膨らませながら観た。井田勝大指揮、演奏はびわ湖の風オーケストラ。

まず『シンデレラ』。この団体のOGで日本テレビアナウンサーの岩本乃蒼が登場人物の1人のように、ドレスを着て優しい語り。奥村唯のシンデレラは素直な可愛らしさが良く、子供たちが演じるねずみのシーンの優しげな様子が特に印象に残った。真面目で人柄が良さそうな石神航一のフォーチュン王子、存在感を持った金兌潤の継母、達者なバレエ技術と演技の義姉オデットの大久保沙耶&義妹アロワサの徳彩也子、広がるような輝きを感じさせる仙頭由貴の仙女と、適材適所のソリストが揃っていた。

撮影:尾鼻葵-1387.jpg

シンデレラ:奥村唯、仙女:仙頭由貴
撮影:尾鼻葵

撮影:尾鼻文雄-2069.jpg

オレンジを贈る人:佐々木嶺、巽誠太郎、林高弘
撮影:尾鼻文雄

撮影:尾鼻文雄-6790.jpg

『ジゼル』
ジゼル:小野絢子、アルブレヒト:奥村康祐、ミルタ:寺田亜沙子
撮影:尾鼻文雄

そして『ジゼル』。幕が開いて最初に登場するのは、ジゼルの母ベルタ(尾本安代)。この村での普段の生活を見せながら物語に引き込む。尾本は全編通して、要所要所で確かな存在感を持ちながら、かと言って目立ちすぎることなく自然に物語を運ぶ、やはり長年舞台経験を重ねたダンサーだからこその名脇役だと実感した。
小野のジゼルは想像通りに清純可憐。奥村康祐のアルブレヒトも幕開けから清らかさが感じられ、なんだか、2人ともがとても清々しい。もちろん、奥村が男らしい力強さを観せるなど、魅力はそれだけではないのだが、それは大きな魅力だと感じた。ヒラリオンの宗近匠の説得力のある演技、ミルタの寺田亜沙子のゾクッとさせる程の冷たい強さも印象的。
2幕終盤、ジゼルとアルブレヒトの踊りを観ていると、切なさがどんどん高まっていって、胸が締めつけられた。2人が投げかけ合うどうしようもない想いが、編まれるように広がっていくような感覚。
『シンデレラ』、『ジゼル』ともに、コール・ド・バレエも美しい脚の良いダンサーが揃い、レベルの高い舞台に仕上がっていた。
(2022年8月16日 フェスティバルホール)

撮影:尾鼻文雄-3716.jpg

ジゼル:小野絢子、アルブレヒト:奥村康祐
撮影:尾鼻文雄

撮影:OffiveObana-4349.jpg

ペザント パ・ド・カトル:井上裕美、葭岡未帆、巽誠太郎、林高弘
撮影:OffiveObana

撮影:尾鼻-葵-6594.jpg

ミルタ:寺田亜沙子、ヒラリオン:宗近匠
撮影:尾鼻 葵

撮影:OfficeObana-6038.jpg

ミルタ:寺田亜沙子
撮影:OfficeObana

記事の文章および具体的内容を無断で使用することを禁じます。

ページの先頭へ戻る