Kバレエカンパニー『クレオパトラ』大阪公演に先立ち、熊川哲也が記者会見を行った

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

11月3日(木・祝)に、大阪・フェスティバルホールでKバレエカンパニー『クレオパトラ』が上演されるのに先立ち、芸術監督・熊川哲也が大阪で記者会見を行った。
大阪では、この作品初演時の2017年にも中村祥子のクレオパトラ役で上演され話題をさらっている。今回は、ともに関西出身のバレリーナ2人、飯島望未(13時公演)と日髙世菜(17時半公演)がクレオパトラ役を踊る予定。熊川自身もジュリアス・シーザー役で久しぶりに舞台に立つ(17時半公演)。

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にこやかに記者たちの前に現れた熊川哲也は終始フレンドリーな語り口。積極的な質問が飛び交う活気ある会見となった。
初演時、『クレオパトラ』というバレエを創るというと、まるで考古学者のように言われることもあったそうだが、「かなり、想像の世界で創りました。昔の人すぎて、想像していると人間に思えない。それで「"蛇"の化身に」とオリジナルの発想が生まれたという。

今回、クレオパトラ役の二人の関西出身バレリーナについても質問が飛んだ。
飯島望未について「人気と実力を兼ね備えたバレリーナ。彼女は目の奥に光るものがある。ファッションでも発信している彼女は、髪がピンクだったと思ったら金髪になっていて、今日は黒髪と、カメレオンかと驚くけど(笑)。少し前だったら、そういうタイプはバレエがおろそかになる傾向があったように思うけれど、彼女はそうではない、それはそれ、これはこれ。バレエに対して、とても真面目で実直。また、クレオパトラは一般的に長身で強いイメージがあるので、彼女のイメージとはちょっと違うと思われる方もいらっしゃるかもしれない。けれど、彼女は演技力が並外れていて、また、クリーチャーみたいな役が合っている。そういう意味で"蛇"の化身というのも楽しみ」と話す。

一方、日髙世菜について「彼女の踊りには度肝を抜かれる。すごく脚が強い、どんな風でも立っていられるフィジカルビューティ、テクニシャン。それに加えてセンスが良い。ヨーロッパの香りを感じさせる。こういうバレリーナはなかなかいない」。
熊川はこの日髙の舞台に、ジュリアス・シーザー役で出演する。久しぶりの出演について問われると「自分が出演しなくても成り立つカンパニーに育てたいという思いから、舞台に立つことから遠のいていましたが、50歳の節目ということもあり、1ダンサーの生き様として、立っても良いかと。皆さん、僕が年を取らないと思っているのか昔のイメージのままだったりするようですが、もう少年のようにはいかない。主役ではないし、今、立つのにふさわしい役ということも考えるとジュリアス・シーザーに。出るのは少しだけですよ、1ジャンプくらいするかもしれないけど(笑)」。また、「ジュリアス・シーザーというと権力者というイメージが強いかと思うけれど、初演時、スチュアート・キャシディのイメージで振付けた時は、どちらかというとファミリーマン。クレオパトラといる時が幸せというような、だけど、僕が踊るとなると、権力者のイメージが強くなるかも知れませんね」。
そして、「飯島さんの回にも出演されたら良かったのに」という言葉には「やはり、僕が出演しなくても成り立つカンパニーに、という思いがあるので、出ない回も。でも、飯島望未は想像力を掻き立てられる存在なので、いつか、彼女に新作を創ってあげたい。その時には共演もするかも」。

最後に「僕の振付を踊るのは疲れる。その疲れてヘトヘトになっている時の色気、オーラが良い。必死になっている極限のところ。優雅な白鳥が水面下で必死にバタバタしている。そんなダンサーたちが舞台上で繰り広げる最高の景色を観に来てください」。

Kバレエカンパニー Autumn Tour2022
『クレオパトラ』大阪公演

11月3日(木・祝)13:00開演/17:30開演
フェスティバルホール

詳細はフェスティバルホールHP
https://www.festivalhall.jp/events/679/
https://www.festivalhall.jp/events/692/
KバレエカンパニーHP
https://www.k-ballet.co.jp/contents/2022cleopatra

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