創作作品と樫野隆幸改訂振付の『パキータ』他が上演された──全日本洋舞協会合同公演
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ワールドレポート／大阪・名古屋
すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna
「全日本洋舞協会 合同公演」
一般社団法人全日本洋舞協会、枚方市総合文化芸術センター指定管理者アートシティひらかた共同事業体
パリ在住の舞踊家・黒井治が会長を務める全日本洋舞協会の合同公演。コロナ禍のなかだが、黒井も帰国し、クラシック・バレエ、現代舞踊、コンテンポラリー・ダンスと多彩な演目による舞台が開催された。
この公演、作品を上演するだけでなく、振付家やダンサーに5つの賞を用意、その結果も最後にご紹介したい。
『アルレキナーダ』よりグラン・パ・ド・ドゥ大河原萌乃佳、水城卓哉 撮影：尾鼻文雄（写真工房無限）
『Who Lights the Sun？』小野七瑛
撮影：尾鼻文雄（写真工房無限）
『エスメラルダ』よりグラン・パ・ド・ドゥ 姜仁奈、水城卓哉 撮影：尾鼻文雄（写真工房無限）
第1部はコンサート形式で、7つの作品が上演された。幕開けは、大河原萌乃佳が水城卓哉をパートナーに踊った『アルレキナーダ』よりグラン・パ・ド・ドゥ。1曲の中で、しっかりと物語を感じさせるのが良い。この演目は、つい、オーバーな演技になってしまうことも多いものだが、大河原のナチュラルな演技に好感が持てた。
川本遼薫が踊った『Solo』（振付：宮原由紀夫）は、打楽器の音の中での軽い動きが印象的。小野七瑛が踊ったのは森田玲子振付の『Who Light the Sun？』。照明も含めた構成の上手さが光る作品、小野が振付家の意図をしっかり表現できるダンサーであることも感じられた。槇なおこ自作自演の『エレファン』は、チャップリンのようなサロペットパンツに白手袋、白く塗った顔での歌詞のある曲に乗せてメルヘン、物哀しさにキュンとする作品だ。一方、義足のダンサー、大前光市自作自演の『5つの魔法』は、やはり日本語を使いながら希望を表現。前向きなパワーに元気が湧く。
佐藤典子監修、児玉道久の台本、幾田雅子の音楽構成、宮原由紀夫の振付で創られた「遠州の七不思議『京丸ぼたん』より」は、福澤夢と宮原が踊った。浜松市にある巨大牡丹の木に基づいた悲しく美しい作品。続く第1部最後は『エスメラルダ』よりグラン・パ・ド・ドゥで姜仁奈と水城が鮮やかなテクニックを楽しませてくれた。
『エレファン』槇なおこ 撮影：尾鼻文雄（写真工房無限）
『５つの魔法』大前光市 撮影：尾鼻文雄（写真工房無限）
遠州の七不思議『京丸ぼたん』より 福澤夢、宮原由紀夫 撮影：尾鼻文雄（写真工房無限）
『パキータ』片山なつき、青木崇 撮影：尾鼻文雄（写真工房無限）
そして第2部は『パキータ』。樫野隆幸の改訂振付での上演だ。パキータ＆リュシアンは片山なつきと青木崇。青木がレベルの高いダンサーであることはご存知の通りだろう。片山もとても良いダンサーであることを実感した。品があり清潔感のある魅力、惹きつけるものを持つダンサーだ。海外での経験もあるようだが、まだこれからの伸びしろもあるように見えた。彼女が白いバレエを踊るのも観てみたいなと思った。
コール・ド・バレエも気持ちを合わせていたし、6人のソリストが実力派揃いで、それぞれの個性を発揮していたのも良かった。そのなかで特に、第5ヴァリエーションを踊った大成遼は、メリハリを持ちながら、ふわっとした幸福感を感じさせてくれる踊りで心に沁み入るものがあった。
全日本洋舞協会賞に片山なつき、大阪府知事賞に森田玲子、枚方市長賞に大河原萌乃佳、枚方市教育委員会教育長賞に大成遼、全日本洋舞協会長賞に小野七瑛が選ばれた。
（2021年11月28日 枚方市総合文化芸術センター関西医大大ホール）
『パキータ』片山なつき、青木崇、ほか 撮影：尾鼻文雄（写真工房無限）
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