101歳の本城ゆりも出演──京都の振付家、ダンサーが集った「オータム・ダンス・フェスティバル in 京都」

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

全京都洋舞協議会「オータム・ダンス・フェスティバル in 京都」

2年前には創立60周年記念公演として石井潤振付『カルミナ・ブラーナ』などを上演し、文化庁芸術祭優秀賞を受賞した全京都洋舞協議会。京都のバレエ、モダンダンスの団体が会員となっている協議会だ。新型コロナ禍で昨年の公演は中止となってしまったが、今回、多彩な14演目が上演された。

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『Sailor』撮影:大藤飛鳥(テス大阪)

幕開けは新国由香振付の『Sailor』、水兵をイメージしたセーラー服に身を包んだ若いダンサーたちがフレッシュな魅力たっぷりに、オープニングにぴったりと思える演目だった。そして印象的だったのは、水野弘子バレエ学園の株田佳香と宮下靖子バレエ団の吉田旭が踊ったフレデリック・アシュトン振付『Voices of Spring』。あのリフトされて花びらをひらひらひら〜と散らす、春の喜びいっぱいのパ・ド・ドゥ。大バレエ団などに所属していないと、なかなかアシュトン作品などは踊る機会が得られないと思ってしまいがちだが、今回、最初から諦めることなく、日本バレエ協会を通してアシュトン財団に交渉し実現した。新国立劇場バレエ団に指導に来ていた元バーミンガム・ロイヤル・バレエのデニス・ボナーに、リモートでの指導と、直接でも2回の指導を受けて本番を迎えたという。二人の踊りから、本当に幸せな気持ちが伝わって来て、春の喜びに、この作品を踊ることが出来る喜びが重なっているような気がした。
また、中西照恵バレエスタジオの川畑麻弓は、憂いと強さを『Dark Eyes』で表現、中西孝子は抜群のプロポーションを活かし、大人の色香も漂わせて『SAKURA〜2019 in NY Live Arts〜』を踊った。

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『Voices of Spring』株田佳香、吉田旭
撮影:テス大阪

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『SAKURA〜2019inNY Live Arts〜』中西孝子
撮影:テス大阪

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『弦楽のためのアダージョ』本城ゆり
撮影:テス大阪

驚くのは、101歳というお歳でありながら振付・出演した本城ゆりの『弦楽のアダージョ』。本城は座った状態でのダンスだったが、絵になるのは、さすが。歩くことも困難になったこともあったと聞くが、諦めずリハビリを続けて復活。今もスクワットや足上げを続け、踊るための身体をつくる──踊ること=生きることなのだなと、つくづく感じた。

井上佳子バレエスクール、チサ・クラシック・バレエ教室、原美香バレエスタジオ、福本バレエアカデミーは共に1つの作品に挑んだ。ビゼーの曲での『シンフォニー』、第1楽章と第4楽章を井上佳子、第2楽章を原美香、第3楽章を福本裕美が振り付けて、白に銀飾りのクラシックチュチュでの煌めくような踊りに仕上げた。

水野永子が振付けた『ゴルトベルグ幻想組曲』は、武並葉子、中小路薫、株田佳香がそれぞれ達者なヴァリエーションを観せて。そして、石原完二振付『亡者たちの宴』は、石原の飄々とした独特の雰囲気を持った踊り、女性ダンサーたちによる魑魅魍魎がうごめく様が強烈に客席に迫る。そのなかで眼に残像が残る大きなジャンプなども見せてくれるのは実力あるダンサーたちだからこそだろう。

最後は、宮下靖子バレエ団、石井アカデミー・ド・バレエ、バレエスペースフェアリー、田中由紀バレエスタジオ、翠成子バレエ研究所が力を合わせて、大塚馨がエドヴァルド・グリーグの曲に振付けた『ホルベルク組曲』を。踊れるダンサーが多く、特に第4曲「アリア」の鎌田和と吉田旭の踊りには、落ち着いた音楽のなか、とても気気持ちの良い清潔感、西洋芸術らしい天への意識のようなものが感じられて、惹き込まれた。
(2021年11月14日 ロームシアター京都サウスホール)

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『シンフォニー』撮影:大藤飛鳥(テス大阪)

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『亡者たちの宴』石原完二
撮影:大藤飛鳥(テス大阪)

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『ホルベルク組曲』撮影:テス大阪

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