ローザンヌ国際バレエコンクール出身者など海外で活躍する日本人ダンサーたちが多数出演──「Dance at the Gathering 2021」

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

「Dance at the Gathering 2021」

西尾智子:プロデュース

ローザンヌ国際バレエコンクールをきっかけに海外はばたいたダンサーたちを中心に、海外で活躍する日本人ダンサーが多く集ったガラ。新型コロナ禍の中、シーズンの区切りで帰国し、2週間待機後すぐに出演といったダンサーも多かったようだが、全体にレベルの高い見応えのある踊りを観せてくれた。特に印象に残ったものについて触れたい。

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『Youth』(若さ) 井阪友里愛、東條裕子バレエシアター  撮影:岡村昌夫(テス大阪)

まず幕開けは、東條裕子振付の『Youth(若さ)』、東條のもとで育ち、現在、ベルリン国立バレエ団で活躍する井阪友里愛を中心に東條裕子バレエシアターのダンサー達が幕開けに相応しいすがすがしさで踊った。
森脇崇行の少年らしいフレッシュな魅力の『海賊』よりランケデムのヴァリエーションを経て、『ラ・シルフィード』よりパ・ド・ドゥは、中国国立中央バレエ団で活躍した経験を持つ北沙彩と、クロアチア国立バレエ団の住友拓也。住友のアレグロのパの美しさ、そして、北のどこまでもピュアな雰囲気、清らかさに魅入った。北の踊る白いバレエ、バレエ・ブランをもっと観たいという強い気持ちが湧いてきた。
シディ・ラルビ・シェルカウイがヘンリー・パーセルのオペラ『ディドとアエネアス』の曲に振付けた『Remember mie』パ・ド・ドゥは、ベルギーのオペラ・バレエフランダースで活躍する2人、中川瑠華と加藤三希央。男女の関わり方がとても自然に見えて、スーと心に入ってくる良いコンテンポラリー。そして、スロヴェニア国立マリボル歌劇場バレエ団の中島麻美と大巻雄矢が踊ったのは『海賊』第二幕よりグラン・パ・ド・ドゥ。中島の知的な雰囲気と、大巻の美しい筋肉、チャーミングで踊る喜びが溢れる様に引き込まれた。

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『ラ・シルフィード』よりパ・ド・ドゥ
北沙彩、住友拓也  撮影:岡村昌夫(テス大阪)

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『Remember me』パ・ド・ドゥ
中川瑠華、加藤三希央  撮影:岡村昌夫(テス大阪)

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『海賊』第二幕よりグラン・パ・ド・ドゥ
中島麻美、大巻雄矢  撮影:岡村昌夫(テス大阪)

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『祈りの色 アヴェ マリア』
大石裕香  撮影:岡村昌夫(テス大阪)

第2部の最初は大石裕香がシューベルトのアヴェマリアに振付けた『祈りの色 アヴェ マリア』、プログラムには「祈りに色がついていたらどんな色...」という副題がついている。この新型コロナ禍のなかで大切な命を授かった、母となった大石の想いが丁寧に素直に表現され、伝わって来た。ローザンヌ国際コンクールの1位受賞者2人(2012年と2014年)、菅井円加(ハンブルク・バレエ)と二山治雄(パリ・オペラ座バレエ団短期契約)は『パリの炎』よりグラン・パ・ド・ドゥ。ずーと身体が引き上がっているのが感じられる二山の踊り、チャーミングな演目ながら可愛らしさのみならず品も感じさせる菅井、そして2人ともの高テクニック。コーダのテクニカルなアレンジも盛り上がった。
そしてラストは、新国立劇場バレエ団の小野絢子と福岡雄大による『くるみ割り人形』第二幕よりグラン・パ・ド・ドゥ。すべてのパが自然であるべきところにあるような......とても気持ちの良い踊りだった。
(2021年7月21日 兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール)

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『パリの炎』よりグラン・パ・ド・ドゥ
菅井円加、二山治雄  撮影:岡村昌夫(テス大阪)

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『くるみ割り人形』第二幕よりグラン・パ・ド・ドゥ
小野絢子、福岡雄大  撮影:岡村昌夫(テス大阪)

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