神原ゆかりが踊った望月則彦振付『マルグリットの告白』など──ゆかりバレエ公演2021

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

ゆかりバレエ公演2021

『マルグリットの告白』望月則彦:振付、『バレエ組曲』佐多達枝:振付、『遊びの流儀』神原ゆかり:振付、『dateless costoms』依田久美子:振付、他

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『ジゼル』第2幕よりグラン・パ・ド・ドゥ
斉藤耀、牧村直紀
© エー・アイ 撮影:山崎光彦(すべて)

神原ゆかりが主宰するゆかりバレエの今年の公演。神原の舞踊生活50周年を記念して、望月則彦振付『マルグリットの告白』が神原によって踊られたのが特に印象に残る舞台となった。この作品は神原のために望月が振付けた作品ということで、マルグリットの複雑な心情が手に取るように伝わって来てさすが。アルマンの梶田眞嗣、アルマンの父の松本直樹とのシーンもスムーズだった。加えてテンポの良い展開に、物語を中作品にまとめる望月のセンスの良さをあらためて感じた。もっと生きて新しい作品を創り出して欲しかったとつくづく思う。

公演は、第1部、クラシックのグラン・パ・ド・ドゥなどのバレエコンサートで始まった。その中で特に印象的だったものを2つ挙げたい。まず、神門亜美と南野高廣が踊った『ダイアナとアクティオン』のグラン・パ・ド・ドゥ、神門はまだ緊張が見える気はしたが、長身で華があり、これからの成長を期待したい存在、南野の柔らかくバネのある動き、そして何よりも踊る喜びが伝わる活き活きとした表現がとても良かった。もう1つは斉藤耀と牧村直紀の『ジゼル』第2幕よりグラン・パ・ド・ドゥ。斉藤は、もっと快活な踊りが似合うダンサーかと思う面もあったが、さすがにプロらしく丁寧に仕上げていた。牧村のリフトも息が合って浮遊感がよく出ていたのも良い。そして牧村自身の技術も満足のいくものだった。

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『遊びの流儀』

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『dateless costoms』依田久美子、神原ゆかり、松本直樹

第2部はコンテンポラリー作品で、神原振付で、生徒でもあるという小笠原彩乃作曲、Noix(フルート:胡桃澤和香奈、ヴァイオリン:酒井一裕、マリンバ:近藤汐梨、ピアノ:小笠原彩乃)の生演奏に乗せて、子供たちも出演しての「わらべうた」、「夢うつつ」、「お絵かき」、「かくれんぼ」。続いては、依田久美子振付で依田と神原ゆかり、松本直樹が踊る『dateless costoms』が上演された。滑らかな動きの中に人生経験を経たからこその"大人の格好良さ"が感じられる作品。飾らず、潔い、それが観ていて気持ちよかった。

そして第3部が、冒頭で挙げた『マルグリットの告白』、続くラストには佐多達枝振付『バレエ組曲』。実力派ダンサー達の小気味よい踊りを楽しんだ。
(2021年7月4日 名古屋市芸術創造センター)

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『マルグリットの告白』
マルグリット:神原ゆかり、アルマン:梶田眞嗣

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『マルグリットの告白』神原ゆかり

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『マルグリットの告白』神原ゆかり

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『バレエ組曲』斉藤耀、牧村直紀

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『バレエ組曲』 © エー・アイ 撮影:山崎光彦(すべて)

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