バレエ・リュス・ド・モンテカルロの幻の名作『ベルキス』を小谷ちず子振付で吹奏楽とともに上演

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

シバの女王ベルキス実行委員会

『シバの女王ベルキス』小谷ちず子:振付

バレエ・リュス・ド・モンテカルロにレオニード・マシーンが振付けた『ベルキス』。ダンサー、オーケストラ、合唱団合わせて総勢200名以上も必要で、規模が大き過ぎて再演が難しく幻の演目になっていた。現在、世界を見渡してもほとんど再演されていないようだ。ただ、レスピーギ作曲の音楽は日本の吹奏楽の世界ではとてもポピュラーだそうで、定期演奏会のラストに演奏されることも多いということ。今回、吹奏楽部の撮影・DVD制作を行っている株式会社アールミュージックの永岡学の企画で「シバの女王ベルキス実行委員会」を立ち上げ、滋賀県の高校吹奏楽部で実力派とされる2高の演奏に、ダンスコアポシブルの小谷ちず子が振付けて、30分ほどの作品に仕上げられた。

撮影:株式会社アールミュージック 徳田学(すべて)

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ソロモン(ソロモン王国の王):古川満、ナータ(敵国の潜入者):やすなみずほ、ブルージェイ(カケス):福原幸

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ナータ:やすなみずほ、ブルージェイ:福原幸

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ベルキス(シバの女王):財津扶美子、ソロモン:古川満

前半は今回の企画に関わった団体がそれぞれ、演奏やダンス、バレエを披露。後半が『シバの女王ベルキス』の上演だ。舞台を斜め半分に区切るような形で上手奥からの半分で膳所高校吹奏楽部が座奏を行い、甲西高校吹奏楽部が動きながら演奏するマーチングを担当した。

紀元前10世紀頃の古代イスラエルが舞台。知恵と治世の能力に長けたソロモン王(古川満)がブルージェイ(カケス・福原幸)から「シバという国にベルキス(財津扶美子)という王女がいて絶世の美女」と聞き、参代を求める。ベルキスの方もソロモン王に会いたいと願って王のもとへ向かうが、敵国のスパイであるナータ(やすなみずほ)がそこに立ちはだかる......というストーリー。エキゾシズムを感じさせる作品だ。

古川はソロモン王らしい威厳を感じさせ、財津はしっとりとした風情でベルキスを踊った。作品を引き締めていたのがナータを踊ったやすなみずほ。劇団四季でも舞台に立つなどプロとしての舞台経験豊富な彼女は、さすがの迫力で悪役を好演。こういうダンサーが1人いるだけで一気に舞台に惹き込まれるのを感じた。また、黄色と緑のクラシックチュチュで鳥のブルージェイ(カケス)を踊った福原幸も、バレエテクニックを活かした踊りで眼を惹いた。

そして、吹奏楽部とダンサー大人数が出演する舞台は壮観。また、手を入れながら再演するとブラッシュアップされてさらに良くなっていくのではないかと思えた。
(2020年11月14日 守山市民ホール大ホール)

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ベルキス:財津扶美子、ソロモン:古川満、ナータ:やすなみずほ

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ベルキス:財津扶美子、ソロモン:古川満、ナータ:やすなみずほ

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ナータ:やすなみずほ、ソロモン:古川満

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「シバの女王ベルキス」

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カーテンコール 撮影:株式会社アールミュージック 徳田学(すべて)

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