岡田兼宜プロデュースによる緊急公演「Deesses」、山田ことみ、岡田兼宜による『パキータ』他
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ワールドレポート/大阪・名古屋
すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna
岡田兼宜プロデュース公演「Deesses」
新型コロナ・ウィルス感染拡大の影響で関西のバレエ公演の多くが中止や延期に追い込まれる中、ダンサーでもある岡田兼宜が、主要バレエ団の経験豊かなダンサーからプロを目指して頑張っているジュニアなどが出演する緊急公演『Deesses(女神たち)』を行った。一定レベル以上の踊り手が集まり、舞台がほとんどないなかで "踊りたい!"という気持ちがまっすぐに伝わる見応えのある舞台になった。
第1部はコンサート形式、クラシック・バレエのヴァリエーションやグラン・パ・ド・ドゥがまず続いた。顔が小さく手脚が長いスタイルに恵まれた若手が多く、それぞれ持ち味もあり、これからも努力を重ねて良い成長を、とつくづく思う。
その後、コンテンポラリーが8つ。その最初は瀬島五月振付で3人のジュニア、永吉美佑、灰谷亜珠、藤岡由衣が踊った『Matinee Idyll』。ポップな音楽と衣装で表情豊かに、ちょっとコミカルな部分も入れての踊りは、この年頃だからこそのチャーミングな魅力が上手くでていて良かった。他に、堀川美和、岡田兼宜、島﨑徹がそれぞれ振付けたソロ作品が続いた。また、玄玲奈の振付でベテラン森伊佐と河森睦生が踊った『Ne:ge・雪華・』は危機感のなかでの女性の強さが感じられ、動きの迫力はさすが。
『パキータ』パキータ:山田ことみ
撮影:近藤幸博(イングルウッド)(すべて)
第2部は『パキータ』。中心のパキータ&リュシアンを踊ったのは山田ことみ&岡田兼宜。山田はモナコ王立プリンセス・グレース・アカデミーに留学中の今年2月、ローザンヌ国際バレエコンクールに出場したが、準決勝の前日、コンテンポラリーのレッスン中に左足の小指を骨折し、残念ながら棄権。その後、新型コロナ禍でリモートで学ぶ形になりながら学校を卒業し、この秋からはアメリカ、ABTスタジオカンパニーに入ることが決まっている(スケジュールが不確定ではあるが......)。
今回のパキータ役、その堂々としたプリマぶりに驚いた。まだ18歳とは思えない落ち着き、ポジションも美しい。そして喜びが溢れて広がるようなクロワゼ・アチュチュード。コーダのフェッテはダブルを入れながらでラストはトリプルで盛り上げた。
周りも、パ・ド・トロワを椿原せいか、嘉本夕葉、栗野竜一、辰巳紗代や坂田麻由美といったベテランはじめ、中田みなみ、大塚アリス、高橋彩、中川環がソリストを、マズルカの中心を河森と脇塚力が踊るなど、実力派が多く出演して作品を盛り上げた。
(2020年8月23日 リビエールホール 大ホール)
『パキータ』パキータ:山田ことみ
『パキータ』パキータ:山田ことみ
『パキータ』マズルカ:河森睦生、脇塚力、ほか
『パキータ』パ・ド・トロワ:椿原せいか、嘉本夕葉、栗野竜一
『パキータ』パキータ:山田ことみ、リュシアン:岡田兼宜
『パキータ』パキータ:山田ことみ、リュシアン:岡田兼宜
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