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有馬バレエ70周年記念公演──安達哲治、下村由理恵、藤川雅子作品、そして矢上恵子追悼演目も上演

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

有馬龍子記念一般社団法人京都バレエ団

『クリスマス・キャロル』〜奇跡の贈りもの〜 藤川雅子;振付、『ビゼーシンフォニー』下村由理恵;振付、『Lazo』〜絆〜 矢上恵子;振付、『ショパンという名の音楽家...想いに濡れながら』安達哲治;振付

70周年を迎えるバレエ団体は全国を見渡しても、まだ数えるほどしかないと思うが、その一つが「有馬バレエ」。有馬龍子が設立し、有馬えり子に引き継がれながら、長年、パリ・オペラ座バレエ団との交流を続けている団体だ。有馬龍子記念京都バレエ団として、パリ・オペラ座のエトワールなどを招いて公演を行っている舞台をご覧になった方も多いだろう。今も、「有馬バレエ」として小さな子どもから受け入れるバレエ教室が続いているのはもちろん、より専門的にバレエの道に進む人のための「京都バレエ専門学校」、そして、レベルの高い公演を行うための「有馬龍子記念一般社団法人京都バレエ団」とあり、どれも積極的な活動を行っている。そんな団体の70周年記念公演ということで、創立者・有馬龍子の昔の映像上演なども挟んでの舞台となった。

私が今回、この公演を観て、特に良いなと思ったのは、ここで育ち、活躍する舞踊家たちが、いつもの公演以上に表現の機会を得て輝いていたように見えたこと。この団体は、レベルの高いものを観せたいという強い想いから、夏の公演ではパリ・オペラ座のダンサーを主役とすることが多く、振付や指導もパリからということも多い。そこで世界の一流ダンサーと共に舞台を踏むからこそ、団員たちが学び成長していることはとても良いと思う。一方、ここで学んだダンサーが成長し、海外や東京で活動する例も増えているなか、もう少し、この団体所属や出身のダンサーにスポットが当たる舞台があったら良いのでは、と感じていたなかでのことだ。

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『クリスマス・キャロル~奇跡の贈りもの~』
西尾優実花、北垣成馬、阿部誠、他 撮影:岡村昌夫(テス大阪)

幕開けは、この団体の夏の公演、カール・パケット引退公演『ジゼル』でミルタを踊った藤川雅子が振付を手掛けた『クリスマス・キャロル』〜奇跡の贈りもの〜。彼女は、文化庁新進芸術家在外研修でのウィーンで、シモナ・ノジャに師事していた折、コンクールでレナート・ツァネラ振付の『アレス・ワルツ』を踊る機会に恵まれるなどするなか、コンテンポラリーにまた作品を創るということに、興味を深めていったようだ。
今回の作品は、強欲な老人が心をあらためる様を、素朴さを持って描いた物語の舞踊化。まだ、創り方に荒削りと思える部分もあるのだが、老人役の高橋弘典を筆頭に、西尾優実花、北垣成馬、阿部誠など、それぞれのダンサーの個性を上手く引き出して見せた。心が温かくなる、ちょっとミュージカルでよく描かれる世界に近い雰囲気もする作品に仕上がった。

メモリアル映像を挟み、下村由理恵振付『ビゼーシンフォニー』。これは、キラキラと輝くクラシック・バレエの魅力。とてもスピーディーで軽快、そして品もあり華やか。第一楽章の江本拓、第二楽章の藤川雅子と秋元康臣、第三楽章の北野優香と福島元哉といったソリスト達を中心に、音楽を体現するようだった。
そして昨年3月に亡くなった矢上恵子の追悼としての、矢上の作品『Lazo』〜絆〜。これは、矢上が東日本大震災の年に振付けたもので、2014年にこのバレエ団の公演でリニューアルして上演されたもの。振付助手の石川真理子の指導で、吉岡ちとせ、藤川雅子、西尾優実花、酒井美穂、田中莉菜、前澤芽依の6人が踊った。

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『ビゼーシンフォニー』
北野優香、福島元哉 撮影:岡村昌夫(テス大阪)

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『ビゼーシンフォニー』
藤川雅子、秋元康臣 撮影:岡村昌夫(テス大阪)

撮影:テス大阪 8041.jpg

『ビゼーシンフォニー』撮影:テス大阪

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『Lazo~絆~』吉岡ちとせ、藤川雅子、西尾優実花、酒井美穂、田中莉菜、前澤芽依
撮影:文元克香(テス大阪)

ラストは安達哲治振付『ショパンという名の音楽家...想いに濡れながら』。舞台下手前でピアノを弾いていた(ショパンを思わせる)江藤勝己が、立ち上がり......というところから始まる作品。ショパンの曲に乗せて、その恋、人生を描いた。ピアノから立ち上がった江藤から引き継ぐようにショパンを踊ったのは秋元康臣。最初のプラトニックな恋人コンスタンチアは佐竹桃華。実際にまだ高校生の彼女、可愛らしく清らかな魅力がよく出ていた。次の恋人マリアの梅本悠羽は貴族らしい品を持った踊り、そして、ジョルジュ・サンドの北野優香は大人の女性の憂いを持ってドラマティックに存在感を持って。秋元とともに複雑な表現に挑んだ。そして、群舞・コロスがショパンの想い、彼の音楽を現すように踊り作品を支えた。
(2019年12月7日 ロームシアター京都サウスホール)

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『ショパンという名の音楽家...想いに濡れながら』
撮影:文元克香(テス大阪)

撮影:テス大阪 03970.jpg

『ショパンという名の音楽家...想いに濡れながら』
ショパン:秋元康臣、ジョルジュ・サンド:北野優香 撮影:テス大阪

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