メドーラの春木友里沙、グリナーラの神木遥などフレッシュなダンサーが活躍──法村友井バレエ団『海賊』

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

法村友井バレエ団

『海賊』法村圭緒:振付

法村友井バレエ団の新たな世代が開花しはじめた──そう感じられる舞台だった。数年前から法村圭緒が振付を担うようになっているが、それにともなって新しい世代に益々活躍のチャンスが増えているように見える。コール・ド・バレエにもスタイルに恵まれたダンサーが増え、視覚的な美しさもレベルアップした。今回からこのバレエ団の音楽監督に就任した江原功の指揮、大阪交響楽団の演奏。

HC3277.jpg

メドーラ:春木友里沙  撮影:尾鼻文雄(OfficeObana)(すべて)

そんななか、大輪の花のように主役デビューを飾ったのは春木友里沙。スラッと手脚の長い抜群のスタイル、舞台に出ただけで輝くような、観客を惹きつける華やかさがある。コンラッド(今村泰典)との幸せな時間での可愛らしさ、パシャ(井口雅之)をからかう悪戯っぽい表情など、場面場面で様々な魅力が感じられたのも良かった。また、準主役・グルナーラの神木遥も美しい身体のラインが印象的で、これからが楽しみなダンサー。落ち着いた雰囲気も持つ彼女は、また違った作品、役で更に輝くのではないかという気もした。

HC3365.jpg

グリナーラ:神木遥

HC2461.jpg

メドーラ:春木友里沙、コンラッド:今村泰典

コンラッドを踊った今村はベテランらしい安心感で舞台を引っ張り、優しいルックスの今井大輔が、なんと奴隷商人ランケデム役。髭をつけ、いつもとは雰囲気の違うタイプのキャラクターを溌剌と好演。また、アリの西岡憲吾はスタイルが良い上に軽く大きなジャンプなど高テクニックが活きて伸びやか、彼はどんどん良いダンサーへと成長しているように見える。

そして、裏切り者ビルバントには、マリインスキー・バレエからドミトリー・プィハチョフ。この振付、最後にはビルバントが首つり処刑される。踊りの見せ場も演技の見せ場も多いこの役を存在感を持って踊り、さすがだった。
堤本麻起子がバッカナールの踊り、坂田麻由美がフォルバンの踊りと、ベテラン勢が民族舞踊の楽しさを体現し、オダリスクは井上麻緒、安田有利佳、中辻里佳子がフレッシュに。多彩な踊りの魅力も楽しめて満足できる全幕に仕上がっていた。
(2019年10月27日 フェスティバルホール)

HC1981.jpg

フォルバンの踊り ソリスト:坂田麻由美、ビルバント:ドミトリー・プィハチョフ

HC1744.jpg

メドーラ:春木友里沙、コンラッド:今村泰典、アリ:西岡憲吾

HC1468.jpg

バッカナール ソリスト:堤本麻起子、ビルバント:ドミトリー・プィハチョフ

HC0636.jpg

ビルバント:ドミトリー・プィハチョフ

DSC_0031.jpg

コンラッド:今村泰典、アリ:西岡憲吾、ビルバント:ドミトリー・プィハチョフ 撮影:尾鼻文雄(OfficeObana)(すべて)

記事の文章および具体的内容を無断で使用することを禁じます。

ページの先頭へ戻る