令和元年台風 19 号により、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げますとともに、
被災地の一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

第32回こうべ全国洋舞コンクール 速報!

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

GW恒例の「こうべ全国洋舞コンクール」が、今年も5月3日から6日、神戸文化ホールで行われた。約700名のエントリーを得て繰り広げられたレベルの高い闘い──その様子を、お話を聞くことができた1位受賞者の声&スナップ写真とともにお伝えしたい。
結果詳細は、下記、神戸新聞NEXTへ
https://www.kobe-np.co.jp/info/youbu/2019/result/main.shtml

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受賞者の皆さん

まず、クラシック・シニアは、男女ともに地元、兵庫県内のダンサーが1位を受賞。女性は『パキータ』よりヴァリエーションを踊った井上ひなた(貞松・浜田バレエ団)。172cmの長身を活かしての伸びやかな踊り、きちんと気持ちの良い5番に入るなど基礎に忠実で、素直な人柄がにじみ出るようだった。高校卒業後、団員になって2年目の19歳、「舞台に出た瞬間から、観ている方に表現したいことが伝わるようなダンサーになりたい」と話してくれた。
男性シニア1位は『タリスマン』よりヴァリエーションを踊った有馬和弥(赤松優バレエ学園)。ジャンプでの空中の形がとても美しい、のびやかでスケールの大きな踊りだった。このコンクールで長年、審査員を務め、昨年夏に他界した赤松優に師事して成長した。高校卒業後、YAGPで得たサマー・スカラシップでアメリカのワシントン・バレエD.C.に。そこで年間の入学許可を得て1年、翌年、ミルウォーキー・バレエのセカンド・カンパニーに。その後アーツ・バレエ・シアター・オブ・フロリダに入団が決まったが、ビザが下りるのに2年近くかかり、その間は日本で活動した。めでたくビザが下りてから3年間、フロリダで活躍し、1年前に帰国。
「アメリカと違って、まだ、バレエに興味のある方だけがバレエを観ているように思える日本で、良い踊りをして多くの方に感動していただけるようになりたい」と、それによって、多くの方がバレエ鑑賞を楽しまれるようになってほしいと考えている様子。恩師・赤松優の写真を持った赤松の妻で、やはり有馬の恩師である矢野陽子とともに記念写真に応じてくれた。今、25歳、これからの活躍が楽しみだ。

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クラシックバレエ部門男性ジュニア1部1位の『エスメラルダ』よりヴァリエーションを踊った山本あらた(安田尚子バレエアカデミー)

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クラシックバレエ部門シニア1位の男女お2人、井上ひなた&有馬和弥

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クラシックバレエ部門女性シニア1位の『パキータ』よりヴァリエーションを踊った井上ひなた(貞松・浜田バレエ団)

また、クラシック男性ジュニア1部1位は、『エスメラルダ』よりヴァリエーションを踊った山本あらた(安田尚子バレエアカデミー)。トゥールをアンディダン、アンディオールなどアレンジしての振付を美しくこなした。幼い頃は体操をしていたが、姉が習っていた教室で、男の子に発表会に出て欲しいと誘われたことから9歳でバレエを始めた。今、高校1年生、9月からチューリッヒ・バレエに留学予定。「王子が似合うダンサーになりたい」と話す。クラシック女性ジュニア1部1位は、美しい足の甲を見せて、軽さと幻想性を感じさせた『くるみ割り人形』より金平糖の精のヴァリエーションを踊った田中美帆(シンフォニーバレエスタジオ)。東京の教室の方で、急いで帰られたのか、残念ながらお話は聞けなかった。

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表彰式

そして、モダンダンス部門。シニア1位は、『わたしを離さないで』を踊った内田奈央子(Roussewaltz)。鼓動のような音の中、「私の眼、私の肺、私の心臓......」だったか、女性の低い声でのそんな言葉が流れる。女性らしいアンニュイ、退廃、そして凄みを感じた。また機会があれば観てみたいダンサー。
ジュニア1部1位は、岩手県からの参加、『旋律』を踊った長澤ほのか(金田尚子舞踊研究所)。金田尚子の元からはこれまで何度も受賞者が出ている。東日本大震災の後、津波の被害を受けながらも踊った同じ研究所の先輩・杉村香菜の『漂白の詩人』の迫力は忘れられない。今回、残念ながら、この部門の演技を私は観られなかったのだが、いつも、踊り手一人ずつの持っているものを最大限に活かし「彼女にしか踊れないものを創りたい」と話す師・金田尚子の話を聞いていると、それは素晴らしいことと感じた。また、受賞決定後、緊張しながらも今回の踊りに向き合った自分の気持ちを話してくれた長澤を見ていると、作品への彼女の真摯な向き合い方が、それだけでも感じ取れるような気がした。
1つの踊りを先輩から後輩に引き継いでいくという考え方もあるし、それも踊り手によって、作品が少しずつ変わっていく面白さがあると思うけれど、"この踊り手にしか踊れない作品を"という気持ちは、特にモダンの場合は、とても尊いものであるように思えた。それは、ちょうど、コンクール総評で布山さと美氏が話されたこととも重なった。

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クラシックバレエ部門男性シニア1位の『タリスマン』よりヴァリエーションを踊った有馬和弥(赤松優バレエ学園)

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モダンダンス部門ジュニア1部1位の『旋律』を踊った長澤ほのか(金田尚子舞踊研究所)

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モダンダンス部門シニア1位の『わたしを離さないで』を踊った内田奈央子(Roussewaltz)

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