法村圭緒の演出・振付による『ショピニアーナ』、ダンサーが活き活きと魅力的に踊った

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

法村友井バレエ団「バレエ・コレクション2019」

『ショピニアーナ』他 法村圭緒:演出、振付

若手ダンサーが経験を積み重ねることでバレエへの理解を深めることを目指し、そんな若手ダンサーたちの中から次世代のスターを発掘したいという思いも持って開催された公演。当初、別の劇場での開催が予定されていたが、それがままならなくなり、大阪市中央公会堂に変更。決して、バレエを上演するために使いやすい会場ではないが、大正ロマンの雰囲気漂う建築物という意味では独特の魅力がある場所だ。

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『ショピニアーナ』マズルカ:中尾早織、詩人:法村圭緒
撮影:尾鼻文雄(OfficeObana)(すべて)

3部構成で行われた舞台。まず幕開けは『ショピニアーナ』。演出・振付とともに詩人を踊ったのは法村圭緒。1907年にミハイル・フォーキンの振付でマリインスキー劇場で初演された作品だが、ワガノワ・バレエ学校で学んだ法村圭緒は、この作品をとても深く知って愛おしく感じているのだろう、と実感させられた。まず幕開け、穏やかな笑顔のコール・ド・バレエが印象的。空気の精たちがとても幸せそうで楽しげなのだ。観ているこちらもなんだか幸せな気分になり、詩人もそんな妖精たちとともに過ごすことが幸せそうだ。
ソリストはそれぞれの個性があって魅力的。ワルツの入本ひなのは楽しげな表情に変化もあって良く、マズルカの中尾早織はチャーミングで可愛らしい、プレリュードの神木遥は大人っぽいしっとりとした魅力。コーダは全員がハツラツと言いたくなるほどのニコニコした笑顔だった。

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『シェヘラザード』よりオダリスクの踊り 中内綾美、川本優貴、佐野裕子

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『海賊』第2幕よりグラン・パ・ド・トロワ メドーラ:久村萌子、コンラッド:大西慎哉、アリ:池田健人

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『人形の精』村上杏咲、荒木研史朗、安達達朗

2部はコンサート。バラエティに富んだ作品を楽しんだ。ここでは、『シェヘラザード』よりオダリスクの踊りを中内綾美、川本優貴、佐野裕子がセクシーな魅力で踊り、特に中内の妖しげな雰囲気に惹き込まれた。『ライモンダ』よりパナデロスの踊りの中心で坂田麻由美と奥田慎也が堂々とした迫力で民族舞踊を観せるなど中堅ダンサーの実力を観られたことも良かった。

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『グラン・パ・クラシック』神木遥、今村泰典

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『パキータ』エトワール:春木友里沙、リュシアン:今井大輔

2部の最後には、神木遥と今村泰典が『グラン・パ・クラシック』を踊った。今村がベテランらしくサポートするなか、神木が美しい身体のラインを活かした。特に足の甲がとても美しく見惚れた。失敗もあったが、すぐに起き上がり難なく、これからが楽しみなダンサーだ。
そして最後、3部は『パキータ』。エトワールの春木友里沙は、やはりスタイルよく、キリッとした美人。ヴァリエーションでは、憂いなど音楽とともに変化する表情、雰囲気が印象深く良かった。リュシアンの今井大輔もルックスもよくパも美しく。華のある主役二人だった。パ・ド・トロワやヴァリエーションのソリストたちも、それぞれの個性が出て楽しみなダンサーが多くいることを感じた。
(2019年2月15日 大阪市中央公会堂大集会室)

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『パキータ』パ・ド・トロワ:椿原せいか、石原歩実、赤名進太郎

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『パキータ』エトワール:春木友里沙、リュシアン:今井大輔

撮影:尾鼻文雄(OfficeObana)(すべて)

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