広く気軽にバレエを楽しむことを目指した「バレエを楽しもう in Sakai 堺」、7回目の公演

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

野間バレエ団「バレエを楽しもう in Sakai 堺」

『眠れる森の美女』他 野間景:振付、改訂振付

普段、バレエに馴染みのない方にも気軽に楽しんでいただけるようにと、比較的低価格(一般2000円、親子ペア3000円など)で、分かりやすい解説をつけて行われているこの公演も今回が7回目。年々、来場者が増えているようで、今年はこれまでで最多の来場数だったという。
今年は『眠れる森の美女』を全幕の物語に沿いながら、適宜短くして2部構成としている。1部でプロローグからオーロラの16歳の誕生日、オーロラがカラボスの針で眠りにつくまで。2部で、幻想のシーンを少し入れてオーロラ姫の結婚式という形にしている。全体にコンパクトながら、主要な踊りは概ね入っていると同時に、物語の流れが分かるように上手く構成されていた。

撮影:尾鼻文雄(OfficeObana)(すべて)

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『眠れる森の美女』作品誕生のお話 解説:野間康子

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デジレ王子:水城卓哉

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オーロラ姫:宇多田采佳、デジレ王子:水城卓哉

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カラボス:太田千鶴、リラの精:花井美夢

オーロラ姫を踊った宇多田采佳は、手脚の長い良いスタイル、くったくない明るい良いお嬢さんという感じ。細かいミスも少しあったが、きちんと役のなかで踊っているのが良かった。王子の水城卓哉は、優しい雰囲気に男らしくたくましい魅力も加わってさすが。彼にはやはり王子が似合う。リラを筆頭に6人の妖精もそれぞれの魅力で楽しませてくれた。また、カラボスの迫力が素晴らしかった。当初、荒瀬結記子がこの役を踊る予定だったのだが、直前になって眼の病気で出演できない状態になってしまった。急遽、たまたま帰国していた、この団体出身で、現在サンティアゴ市立歌劇場バレエ団で活躍する太田千鶴が代役に立ったのだった。堂々としたスケールの大きな踊りは、プロとしての舞台経験の積み重ねからくるものだろう(荒瀬も今回は残念だったが、次の舞台までには回復が見込めそうということで、夏の公演が楽しみ)。

全体に踊りを観るだけでなく、初めての方にもバレエをよく知ってもらおうという趣旨のこの公演で、幕開けには野間景が司会役で登場。平井恵とともにマイム講座として客席も参加してリラの精のマイムをやってみるなど、これから始まるバレエが理解しやすくなる工夫がなされていた。また、見終わった後には、『眠れる森の美女』作品誕生のお話ということで野間康子が、作品の歴史について分かりやすく解説した。
最後は、グランドフィナーレとして、ジャズに乗って恒例の野間景振付『Sing Sing Sing』。おしゃれに華やかに幕を閉じた。来年は、開館予定の新しい劇場「フェニーチェ堺」で開催される予定だ。
(2019年2月24日 堺市立栂文化会館ホール)

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「バレエのマイム講座」解説・指導:野間景、平井恵

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『眠れる森の美女』宝石

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『眠れる森の美女』オーロラ姫:宇多田采佳、デジレ王子:水城卓哉 撮影:尾鼻文雄(OfficeObana)

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