楽しく華やかに踊られたクリスマスシーズンのグランド・バレエ『くるみ割り人形』、越智インターナショナルバレエ

ワールドレポート/名古屋

関口 紘一 Text by Koichi Sekiguchi

越智インターナショナルバレエ

『くるみ割り人形』チャイコフスキー曲

越智インターナショナルバレエのクリスマスシーズンのグランド・バレエ『くるみ割り人形』は、2018年には第31回目の公演を迎えた。
『くるみ割り人形』では、多くのバレエ団が開幕シーンのクリスマス イブの雰囲気を醸すために、様々な工夫をこらしている。越智インターナショナルバレエ団は、花道のあるホールの特性を生かして、続々と人物を登場させる。その中の特別な人物がドロッセルマイヤー(ウラジーミル・チュプリン)だ。大いに張り切って演じ、またなかなか芸達者だった。

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撮影:田中 聡(テス大阪)

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撮影:小林 愛(テス大阪)

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撮影:田中 聡(テス大阪)

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撮影:小林-愛(テス大阪)

一瞬だけ、ドロッセルマイヤーの天敵ともいうべきねずみが、キッチンに吊るされているシーンを見せてから、お待ちかねのクリスマス イブのパーティが始まる。ドロッセルマイヤーは手品を使い、珍しい人形たちの踊りを見せるなどして、子供たちを盛んに喜ばせ人気を一人占めにする。シュタールバウム市議会議長夫妻に労われて、彼のパフォーマンスは一段落するが、クララ(藤沢里緒)とフリッツ(神谷駿斗)が「もっと見せて! もっと見せて!!」とせがむ。ドロッセルマイヤーは一度は断るが、思い直しソファーの後ろにに隠していたくるみ割り人形(岩田わかな)を見せる。クララとフリッツは大喜びでくるみ割り人形と戯れるが、フリッツが乱暴に扱ったために、くるみ割り人形はぐったりとしてしまう・・・。ドロッセルマイヤーが子供たちに披露する人形のコロンビーヌ、ハレキン、サラセンなどの中に、くるみ割り人形を加えるのは、なかなか上手いアイディアだと思った。
夜も更けてクララがまどろむと、たちまち夢の世界が花開き、ツリーが巨大化し、夢の中ではねずみ軍とくるみ割り人形(水谷仁))が率いるおもちゃの兵隊の合戦が始まり、クララも巻き込まれてしまう。ねずみ軍の王(イゴール・ボローシン)は元気いっぱいで良く戦ったが、クララの思いがけないスリッパ攻撃で、あえなく倒れる。すると、くるみ割り人形は、ハンサムな王子(ワデム・ソロマハ)に変身した!
クララ(奥田桃子)は王子にエスコートされて、ダイヤモンドスノーが舞い踊る松林の中へ。雪の精たちのスノーボンボンを持った楽しい踊りが素敵な合唱に乗って繰り広げられる。クララは王子とともにお菓子の国へ旅立つ。しかし、どこまでもしぶといねずみ軍の残党が、執拗に追いかけてくる。

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撮影:田中 聡(テス大阪)

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撮影:田中 聡(テス大阪)

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撮影:小林 愛(テス大阪)

クララと王子はねずみの残党たちを退けて、お菓子の国に到着。様々なお菓子の精たちの出迎えを受けた。二人を歓迎する盛大な宴が始まり、華やかなデヴェルティスマンが次々と踊られる。スペイン(チョコレートの精)、ロシア(トレパック=大麦糖の精)、フランス(アーモンドお菓子の精)、中国(お茶の精)、アラビア(コーヒーの精)の踊りが会場を大いに沸かせた。そして、ジゴーニュおばさんの巨大スカートにも入りきらないほどの可愛い子供たちの踊りが続き、舞台狭しと広がる華麗なる花のワルツとなる。
最後は越智久美子の金平糖の精とワデム・ソロマハ王子のグラン・パ・ド・ドゥが、華やかに踊られて舞台全体をしっかりと締めくくった。そして、クララのクリスマス イブを彩った素晴らしい夢が覚めると、そこは2018年の日本のクリスマス イブ。待望のキャンデー・シャワーが舞台からも花道からも浴びせられて、ホール全体が大いに沸き返り、限りなく楽しかった1日の夜のとばりが降りたのである。
(2018年12月24日 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール)

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