千日前青空ダンス倶楽部『水の底』

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ
text by Atsuko Suzuna

 千日前青空ダンス倶楽部、演出・振付は紅玉。彼は、この作品が上演された大阪のコンテンポラリーの拠点、アートシアターdB(DANCE BOX)のエグゼクティブ・プロデューサーである大谷燠と同一人物、演出・振付としては紅玉というわけだ。千日前青空ダンス倶楽部『水の底』の出演は、稲吉、てるてる、ぽん太、あやめ、小つるの5人の女性たち。
 ブルーの照明の中、銀髪のウィッグに白の衣裳の少女たちがうごめく---ユーレイ? サカナ? アッ人魚かな?
‥‥そんな感じ。とにかく"いきもの"なんだ。
 きれいだ、と思った。
 でも"きれい"っていうのは、人によって、時によって感じ方に違いがある、好みにもよる。これは、鶴橋の焼き肉屋さんの裏のゴミ箱の横にいるけど"きれい"?みたいな感じ----。こういうのはものすごく不思議で魅力的な"きれい"さだったりすると私はいつも思っている。

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『水の底』

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『水の底』

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『水の底』

 その後、この"いきもの"たちは、さまざまに変化する。どこか懐かしかったり、淋しかったり、ちょっと楽しかったり、色んな顔を見せてくれる。
 後半、誰もいなくなった舞台に、よだれみたい‥‥?そこまで汚くないのだけど‥‥。透明で‥‥でもなんかネバっとした水?が少しずつ落ちる。
 でも、これは爽やかな水滴であってはならないんだ。こうだからこそ、この舞台の中で存在感がある。ほこりまみれだからこそ、価値があるような?
 そして、アンティークな、セピア色の絵画になってしまったような女性たち。"いきもの"たちが、セピア色の絵画のようにおめかしして手鏡を見ている。でも蛇のように長い舌を見せて、なんだか"正体?"を思わせる。
(10月26日 Art Theater dB)

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『水の底』

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『水の底』

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『水の底』

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