蔵本誠子バレエスクール40周年記念公演、『ボレロ』ほか深川秀夫作品

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ
text by Atsuko Suzuna

蔵本誠子バレエスクール40周年記念公演

 1966年、伊丹の地で開設された蔵本誠子バレエスクール。現在、尼崎市の武庫之荘を本部に、着実に良い生徒を育てており、バレエコンクールでの入賞者も増えてきている。いつもは発表会がメインの舞台だが、今回40周年ということで特別に公演が行われた。
 最初に『表彰セレモニー』の幕が開くと、真ん中に小さな男の子。可愛らしくて思わず微笑んでしまう。続いての『バレリーナへの道』は、レッスン風景から舞台の情景までを、少しドラマを織り込みながら見せた。
『ミンクス・ファンタジー』は、『ドン・キホーテ』と『パキータ』というどちらもミンクス作曲の作品を組み合わせて蔵本誠子が構成。ゲストの渡部美咲と大寺資二を中心に、生徒たちのヴァリエーションをちりばめた。渡部は軽やかな動きで、技を決めるところと力を抜くところのメリハリがさすが。大寺は男性のテクニックを美しく楽しませてくれた。中でヴァリエーションを踊った杉内里穂は優しい素直な雰囲気、須原千恵はさわやかで堂々とした雰囲気、2人ともこれからの成長が楽しみだ。
 つづく『ボレロ』は、関直人振付のものを蔵本が改訂振付。蔵本誠子自身が堂々とした存在感たっぷりの踊りで中心をつとめた。ソリストにもベテランを配し、大人の魅力が前面に出た演目だった。
 そしてラストは、深川秀夫を振付に招いての『ソワレ・ド・バレエ』。星空のもとにライトで作られたすじあかりが、ロマンティックな世界に引き込んでくれる。渡部美咲をはじめ、このスクール出身で東京バレエ団で活躍した永井小百合、現在教師も務める谷口実香、大場知秀子、砂田理衣が、大寺資二、森充生、アンドレイ・クードリャ、窪田弘樹、内田卓といったゲストと組んで、中心の5カップルを華やかに踊り、コール・ド・バレエと共に深川氏独特の素敵な夜の世界を表出していた。
(8月28日 いたみホール)

蔵本誠子バレエスクール40周年記念公演

蔵本誠子バレエスクール40周年記念公演

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