深川秀夫『3人のキトリによるドン・キホーテ』井上勇一郎振付作ほか
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掲載
ワールドレポート/大阪・名古屋
- すずな あつこ
- text by Atsuko Suzuna
「海賊」
夏の生徒公演の楽しみは、初舞台の小さな子供たちの可愛らしさと同じ舞台で、海外からバカンスで里帰りしている出身ダンサーたちのレベルの高い踊りも観ることができる。
幕開けは『エチュード』。さまざまな年代の子供たちが、みんなで踊る生徒公演らしい演目。白鳥の手振りを取り入れたりしながら、子どもの可愛らしさが生かされていた。
里帰り組の活躍と言えば、まずアメリカのサラソタ・バレエでプリンシパルとして活躍中の河島真之。『海賊』よりヴァリエーションを、背の高い身体を生かして見せてくれた。
そしてもう一人は井上勇一郎、ヨーロッパでダンサーとして活躍した後、現在はナショナル・バレエ・スクール・オブ・カナダの教師コースで学んでいる。振付も手掛ける彼、2つの振付作品を披露してくれた。ひとつ目は『SYMPATHY』、踊ったのは井上優香、辻未来、藤井真理子の女性3人。もう一つは井上勇一郎自身がソロで踊った『Solitary』。Solitary=孤独の、ひとりぼっちの---タイトル通り一人で何かを強く感じて生きている青年が現されていた。『カルメン』でお馴染みのビゼーの哀しげな音楽に打楽器のリズムが重なる。流れるようなラインを持つ井上の動きがよくその感情を現す。今後の作品も楽しみな彼だ。
「SYMPATHY」
「Solitary」
公演の最後は深川秀夫振付の『3人のキトリによるドン・キホーテ』。18年ほども前に創られた作品。『ドン・キホーテ』全幕が50分程度に縮められおり、テンポよく場面が変わっていくのでどんな人が観ても退屈することがない。それでいて、主要な踊りはすべてきちんと入っている。
第1場のキトリは藤井真理子、ハツラツとした魅力で表情たっぷり、よくキトリらしい雰囲気が出ている。ドルシネア姫は西村美紀、バランスの良い体型、足の甲も美しく丁寧な動き、品も感じられてこれからが楽しみな若手だ。そして4場結婚式のキトリは辻未来。テクニックを誇示せず、物語を大切にした踊りには好感が持てる。通してバジルを踊った大寺はスタイルの良さプラスノーブルな魅力も。
脇を固めるメルセデスの田中晶子は大人っぽく雰囲気を持ってのダンス、ジプシーの池田佳子と森充生も、池田の明るく睨みを効かせた色っぽさ、森のいつもの舞台以上の伸びやかさが良かった。
(8月9日 神戸文化ホール大)
西村美紀
藤井真理子
辻未来