日本人留学生も大活躍、ジョン・クランコ・バレエ・スクール公演
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ワールドレポート/大阪・名古屋
- すずな あつこ
- text by Atsuko Suzuna
兵庫県が国内外の青少年の芸術団体を招いて行っている「ひょうごインビテーショナル」。これまで、ボリショイ・バレエ・アカデミーやウィーン・バレエ・アカデミー、カナダ・ナショナル・バレエ・スクールなど様々なバレエ学校がやってきている。今回のジョン・クランコ・バレエ・スクール(シュツットガルト・バレエ・スクール)は二度目。兵庫県立芸術文化センターの他に、加古川、龍野、吹田、岸和田などでも公演が行われた。
この企画、交流のために日本のダンサー、生徒と共に出演する演目もあるのだが(鑑賞した舞台では『パキータ』よりパ・ド・トロワに貞松浜田バレエ団所属の廣岡奈美と安原梨乃が出演)、それとは別に、数年間現地シュツットガルトで学ぶ浅野真由香、藤本佳那子、川端千帆、太田麻里衣、渡辺あみ、風間無限といった留学生たちが、ソロなど主要な役割を堂々とこなしていたのが印象的だった。
全体を通して演目は、『白鳥の湖』第2幕よりなどの純クラシックもあったものの、大半はモダンの要素を持つ作品。天才振付家、ジョン・クランコの理念のもとに創設された学校であることをあらためて感じさせる。質の高い作品が多く、それをクラシックを基礎としてしっかり学んだ生徒たちがのびのびと踊りこなす。
「パキータ」
「白鳥の湖」
「人形」
男女がとてもよく伸びるTシャツで、女性が男性のTシャツの中に入ったりしながら踊る『陽に映える雪の如く』(振付:ロランド・ダレシオ、音楽:ペーター・シンドラー)や、シュツットガルト地元のバレエ学校公演での大人気演目、コミカルでちょっと哀しい『人形』(振付:アルベルト・メンデス、音楽:レンベルト・エギキス)などがまず興味深い。
ラストの2演目は、高学年の生徒たちが総出演。女子は、深川秀夫がグラズノーフの曲に振付けた『グラズノーフ組曲』。トゥ・シューズのテクニックを活かし、女の子の可愛らしさが感じられる独特の動きを多数ちりばめた作品で、この学校の生徒たちにとてもよく似合う。男子は『トロイ・ゲーム』(振付:ロバート・ノース、音楽:ルチアノ・ペレレ・リヴィエラ、ボブ・ダウンズ、ファディル・デ・カストロ)、男性の勇壮さと元気な若さの魅力を満喫させる格闘技系の動きも入った作品。中のファニー・ボーイを演じた風間無限は、コミカルで楽しい演技が堂に入っていて、会場中の笑いを誘っていた。
(7月25日、兵庫県立芸術文化センター)
「陽に映える雪の如く」

「グラズノーフ組曲」
「トロイ・ゲーム」