越智實傘寿 祝賀バレエコンサート
- ワールドレポート
- 大阪・名古屋
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ワールドレポート/大阪・名古屋
- 唐津 絵理
- text by Eri Karatsu
愛知のバレエ界の発展に寄与してきた越智實の80歳を祝うバレエコンサートが開催された。越智インターナショナルバレエの生徒たちによるバレエ・コンサートからはじまって、バレエ団本部団員による『ドン・キホーテ』ハイライト、越智實が育てた数々の舞踊家たちによる16作品がずらりと並び、越智久美子と友則による『薔薇の精』が、長時間にわたる公演のラストを締めくくった。
まず第一部では、名古屋をはじめ、刈谷、一宮、四日市などの支部の生徒たちが、色とりどりのチュチュを身にまとって、『花園』、『コッペリア』『眠れる森の美女』『ライモンダ』などの古典バレエの名作6作品を踊り、ロシアの伝統を受けついだ越智インターナショナルバレエならではの演目で、華やかな会の幕開けとなった。
第二部の『ポロネーズ』では、下手奥からバレエ団団員が現れ、厳かに舞台を横切って、これから始まる祝典を暗示させる。そんな中、団員たちの招きにより主役の越智實が登場。そして始まる『ドン・キホーテ』では、森絵里とワディム・ソロマハの安定したグラン・パ・ド・ドゥを盛り込み、華麗なハイライトで会を盛り上げた。
第三部では、越智に師事した舞踊家たちが思い思いの作品を披露し、80歳の誕生日を祝う。上演されたのは、椙元園子による『シルビア』、徳廣和子による『くるみ割り人形』、小板橋幸子による『スラヴのテーマ』、神八亜古による『花嫁候補のワルツ』、平瀬信勝による『アクティオン』、太田由子の『パ・ド・トロワ』、内藤秘子の『芦笛の踊り』、内藤ひろみの『パキータ』、尾上千洋の『MY NOSTALGIC WALTZ』、鳥居ゆき子の『Waltz』、宮西圭子の『フォーシーズン』、井上弘子&諏訪等の『パ・ド・カトル』、川島ナナの『エスメラルダ』、松岡伶子の『海賊』、徳山博士&後藤千花による『パガニーニ組曲』、市川せつ子による『BEAT TIME』の16作品。
松岡伶子バレエ団の市橋万樹は、『海賊』のヴァリアシオンで、また市川せつ子バレエ団の土屋文乃は、近江貞実振付の『BEAT TIME』で、伸びやかで印象的な踊りをみせ、それぞれの留学先での充実ぶりを垣間見せた。
そしてラストを飾ったのは、フォーキン振付の名作『薔薇の精』。越智が育てた深川秀夫が1965年に第2回ヴァルナ国際コンクールで踊り、銅賞を受賞した記念の作品だ。 今回は、越智インターナショナルバレエを引き継ぐ越智久美子と息子の友則が、流麗で優雅な踊りを見せ、越智實氏のこれまでの業績を称えた。
60年もの長きにわたって活躍を続けてきた越智實であるが、「今後も、中部のバレエ界に微力を尽くしていきたい」と述べ、さらなるバレエへの熱き決意を語った。
(5月28日 名古屋市民会館)