堀川美和&蘇漢華主催『2006 Ballet GALA Celebration』

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ
text by Atsuko Suzuna

KANSAI DANCE ART

 KANSAI DANCE ARTを主宰する堀川美和は、香港、シンガポールでプロダンサーとして活躍した人。今回ともにこの公演を主催した元・香港バレエ団プリンシパルの蘇漢華とは夫婦でもある。
 この公演はそんな2人が中心になり、香港バレエ界を代表するダンサーや、関西を代表するダンサーを招いて行われたガラ・コンサートだ。
 限られた条件の中で音楽にもこだわりを持ち、フル・オーケストラではないものの、特殊楽器はシンセサイザーを使うなど、音楽スタッフもさまざまな工夫を凝らして取り組んでいた。指揮は守山俊吾。


 オープニングの演目は『プロコフィエフ ピアノ コンチェルト 第1番』。ピアノの生演奏は4日が中島五輪江、5日が湊谷亜由美。ファーストプリンシパルを踊ったのは落合恵利子と王泳(Mike Wang)。落合は15年に渡って香港バレエ団で活躍した人。ベテラン・バレリーナの華やかさを感じるダンサーだ。
『マノン』と『カルメン』を踊ったのは、主宰の堀川美和と蘇漢華。『マノン』では、若い男性と大人のセクシーな女性といったイメージがよく出ていた。もう少し滑らかさが出ると更によさそう。『カルメン』は蘇漢華の振付で、オペラ歌手・梅谷裕子の歌と共に。強さからしっとりとした雰囲気への踊りの変化が良かった。

『ドン・キホーテ』から3幕のグラン・パ・ド・ドゥは野間景と高岸直樹。長身で品の良さも持つ2人。明るさプラス優美に踊ってくれた。『コッペリア』のグラン・パ・ド・ドゥを踊ったのは鈴木美波と恵谷彰、若くさわやかな初々しさ。『海賊』2幕のグラン・パ・ド・ドゥは高田万里と法村圭緒、スキッとした魅力を感じるカップルだ。『瀕死の白鳥』を踊った藤岡綾子は現在香港バレエ団のプリンシパル。水面に浮かぶことを表現する腕の動きは、まるで水と溶け合うようで素敵。
 落合とMikeが踊った『Ameno』と、堀川を中心にほとんどの出演者で踊った『ボレロ』は、ともに堀川美和の振付作品。どちらの作品も舞台や照明にもセンスを感じさせ、何よりも踊りの振りに迫力や振付者独特の魅力があって引き込まれた。堀川美和の振付作品を、また他にも観てみたいと思った。
(4月4、5日 シアター・ドラマシティ)

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