下村由理恵とマイアミシティ・バレエから帰国した清水健太の『シンデレラ』

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ
text by Atsuko Suzuna

『シンデレラ』

 バレエスタジオミューズがザハーロフの原振付を元に、夏山周久が演出・改訂振付を行った『シンデレラ』を上演した。王子の"不良"っぽさが特徴となっている。2002年からマイアミシティ・バレエで活躍して、昨年プリンシパルソリストに昇進し、今年退団、帰国した清水健太がとてもコミカルに王子を踊った。大きなジャンプで登場したかと思うと、椅子に脚を投げ出して座り、ピエロをこづいたり、舞踏会へのやる気のなさをアピール。意地悪な姉たちにはイヤそーな視線を送る---とにかく、従来のノーブルな王子像ではなく、お行儀の悪い現代っ子。それが、シンデレラが目の前に現れるやいなや紳士的な態度に急変するのだ。

『シンデレラ』

『シンデレラ』

『シンデレラ』

 下村由理恵のシンデレラは、穏やかで感情がそのまま溢れ出るよう。もちろん高い技術を持っていながら、それを感じさせないくらいスムーズに物語の中に観客を引き込む。そんなシンデレラにひきよせられるように、王子が感情を爆発させて踊る姿は、さすがにダイナミックで格好いい。
 脇では、旦那を尻に引く継母役の岩本正治のインパクトの強い演技、伸びやかで美しい中屋利萌子の踊りが特に印象に残った。

『シンデレラ』

『シンデレラ』

『シンデレラ』

(6月24日、大阪厚生年金会館大ホール)

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