『ジゼル』と『ボレロ』---法村友井バレエ団公演
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掲載
ワールドレポート/大阪・名古屋
- すずな あつこ
- text by Atsuko Suzuna
『ジゼル』
法村友井バレエ団では8年ぶりの上演だという『ジゼル』。高田万里&法村圭緒のカップルでジゼル&アルブレヒトとしては、もちろん初。
1幕、登場する法村圭緒は、投げキッスもサマになるピュアな青年、手の細かい表情からも感情が伝わるのが素晴らしい。ジゼルのヴァリエーションはバロネが軽く、美しい足先に清純さが感じられた。ペザントのパ・ド・ドゥは室尾由紀子と今村泰典、ハツラツとはじけるような室尾、のびやかで笑顔も自然な今村で、悲しい物語の前の明るいシーンを大きく盛り上げていた。コール・ド・バレエの茶系にまとまった衣装などの美術全般も、ぶどうの収穫の季節にふさわしい視覚的な落ち着きがあって良かった。
2幕、ミルタは堤本麻起子、少し踊りが直線的すぎるかと感じるところもあったが、細く長い首をはじめ、美しいラインが出ていたのはいい。高田は昨年秋の『アンナ・カレーニナ』で、素晴らしい内面表現ができるダンサーになった、それはこの2幕にも活かされていて、ジゼルの深い内側からの感情が客席に強く伝わってきた。アルブレヒトも気品にあふれ、それにヴァリエーションでの空中で打つ足の美しさはさすが。
ちなみに、舞台を観ている最中、私はまったく気づかなかったのだが、法村圭緒はこのしばらく前からかなり体調を崩していたそうで、イザという時の代役が用意された中での公演。しかし、それを悟った観客はおそらくいなかっただろう。
『ジゼル』
続いて上演された『ボレロ』は、ロシア公演で観客のスタンディング・オベーションが続いたという法村牧緒の作品。クラシックのテクニック---ポアント・テクニックや回転テクニック、パ・ド・ドゥ・テクニックを駆使した作品で、踊れるダンサーが集まってこそ出来るもの。この日も50人以上のダンサーで迫力たっぷりだった。
『ボレロ』
(6月9日、フェスティバルホール)