花のワルツが秀逸---ISバレエ・フェスティバル
- ワールドレポート
- 大阪・名古屋
掲載
ワールドレポート/大阪・名古屋
- すずな あつこ
- text by Atsuko Suzuna
誕生して6年とフレッシュな教室ISバレエ・アカデミア。今回、1日にピッコロ・シアター、15日に千里中央のよみうり文化センターと、キャストを変えて2つの舞台が行われ、15日の方を観た。
1部はバレエ・コンサート。『白鳥の湖』より王子のヴァリエーションを踊った木村琢馬は、脚が長く良いスタイル。日本にはまだまだ少ない王子を踊れるダンサーになる可能性を持っている気がするので、ぜひ、頑張って欲しい。また『エスメラルダ』のヴァリエーションを踊った大久保彩香は、テクニックも鮮やかに、ハッキリとした表情も良い。美しい脚でタンバリンを叩くバロネが印象的。『くるみ割り人形』より金平糖のヴァリエーションを踊った大久保春香は、きれいなラインできらびやかに、優しい中にきちんとしたメリハリをもっていてとても良かった。
『白鳥の湖』
木村琢馬
『エスメラルダ』
大久保彩香
『くるみ割り人形』
大久保春香(金平糖)
2部では『くるみ割り人形』全幕をコンパクトにしての上演。プロの公演でも度々演じている泉ポールのドロッセルマイヤーはさすがの演技で、ドラマ全体を予感させる。独特の演出だったのは狂言回し的に要所要所に女神(下森瑞)が登場すること、なかなか興味深い。もっと女神の存在を膨らませて演出しても面白いかもしれない。
『くるみ割り人形』1幕
『くるみ割り人形』
1幕(雪のシーン)
クララは横山恵里香、フリッツは川村結衣。金平糖に玉井理沙、王子が藤井雄基。そして、雪はなんと、やっと歩けるようなチビちゃんたちを含んだ子どもたち。こんなキャストでの雪の場面は珍しいが、とても可愛らしく、粉雪の小ささなんだなと妙に納得しながら楽しく観た。そして一方、花のワルツは先生レベルの人を含んだ踊れるメンバー。床に横座りしての、群舞であることを生かした腕の動きなど、振付は独特、全員の技術も揃っており、観客に魅せる意識も1つになっているように感じられた。公演と言っても通用するレベルの花のワルツだったと思う。
(4月15日、よみうり文化センター[千里中央])
『くるみ割り人形』
2幕(花のワルツ)
『くるみ割り人形』2幕