黒沢美香&大阪ダンサーズによる「jazzzzzzz - danse」
- ワールドレポート
- 大阪・名古屋
掲載
ワールドレポート/大阪・名古屋
- すずな あつこ
- text by Atsuko Suzuna
黒沢美香は横浜出身、決して大阪の人ではない。でも不思議なことに、この舞台には"大阪クササ"が、ぷんぷんしていた。毎年、このDANCE BOXで行われるワークショップ「夏塾」に集った生徒たちとともに行った公演だ。
プログラムによると「jazzzzzzz - danse」というタイトルは、けっしてジャズダンスということからでなく、jazz音楽の仕組みを尊敬してつけたものだという。
始まると、キャバレーの踊り手のような女性たち。それぞれがバラバラの動きを、好き勝手な場所で行っている・・ように見える。そして、登場する普通の主婦のような姿の3人。途中でこの3人も踊り出すのだが、中で他の公演でも見かける北村成美以外の二人は、本当にいわゆる普通の人なのではないかと思う---それくらいにリアルに普通の主婦に見えるのだ。通常ならばそういう人に踊らせると何にも伝わらないで空気が壊れるのオチなのだが、この舞台では違った。登場する構成の仕方が素晴らしく、踊るその人たちも余分な皮がむけきったように舞台の上に立っているから、普通の主婦っぽさがとても可笑しく独特の迫力で迫ってくるのだ。いわゆるよく大阪のCMに出てくるオバサンの面白さにも相通じるような。
とにかく全体的に、格好いいダンスとは一線を画した、気取ったことの嫌いな大阪のイチビリ精神満載の、ハデで強引で雑多で楽しい---まるでこの劇場の周囲、通天閣界隈のにぎわいのようなダンスだった。
(4月14日、DANCE BOX)