ソリスト充実---貞松浜田バレエ団『くるみ割り人形』

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ
text by Atsuko Suzuna

 毎年、定番になっている貞松浜田バレエ団の『くるみ割り人形』。クリスマスの神戸の街に『くるみ』は本当によく似合う。
 23日には長年上演されている<お菓子の国ヴァージョン>、24日には、昨年新たに創られた<お伽の国ヴァージョン>が上演された。指揮&音楽監督は堤俊作、ロイヤルメトロポリタン管弦楽団の演奏。

「くるみ割り人形」 23日

23日

 23日の<お菓子の国ヴァージョン>は、クララが金平糖のグラン・パ・ド・ドゥまでを踊るもので、上村未香と貞松正一郎が主演した。
 そして、私が観賞した24日は、クララ(吉田朱里)とくるみ割人形=王子(川村康二)は、2幕で王子の両親にあたるお伽の国の女王(瀬島五月)と、王(アンドリュー・エルフィンストン)に迎えられるという形で、グラン・パ・ド・ドゥを踊るのは瀬島とアンドリュー。雪の女王(山口益加)と雪の王(武藤天華)や、各ディベルティスマンなどソリストが活躍するシーンがたくさんある演出だった。さすがに個性を持った実力あるダンサーがそろったバレエ団で、それぞれのダンサーが魅力をきちんと発揮し、クリスマスの夢の世界に誘ってくれた。
 昨年に引き続きクララ役の吉田朱里の演技はいきいきとして柔らかく、王子の川村もノーブルさが見えたし、瀬島とアンドリューは、高い技術も持って楽しませてくれた。

「くるみ割り人形」 23日

23日

「くるみ割り人形」 23日

23日

「くるみ割り人形」 23日

23日

 この<お伽の国ヴァージョン>、要所要所に子供たちのトナカイが登場したり、ギゴーニュおばさんとボンボンのところが、サンタとスノーマンや小さなサンタというのがクリスマス気分いっぱいで可愛い(今回は残念なことにサンタとねずみの王様役の井勝が急病のため、芦内雄二郎と瀬川哲司が代役をつとめた)。2幕のディヴェルティスマンは、芦笛が、パリジェンヌ(正木志保、竹中優花、武用宜子、安原梨乃、大江陽子、廣岡奈美)とピエロ(秋定信哉)によるコケティッシュな踊りだったり、それぞれ工夫を凝らされていて良い。
 見終わって、ダンサーがみんな楽しいクリスマス気分を盛り上げてくれるプロだなとつくづく感じた。

「くるみ割り人形」 24日

24日

「くるみ割り人形」 24日

24日

「くるみ割り人形」 24日

24日

「くるみ割り人形」 24日

24日

「くるみ割り人形」 24日

24日

「くるみ割り人形」 24日

24日

(12月23、24日/ 24日を観賞 神戸文化ホール大ホール)

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