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エレーナ・フィリピエワの舞踊生活30周年を記念して──キエフ・バレエ「華麗なるクラシックバレエ・ハイライト」京都公演のみのプログラム

ワールドレポート/京都

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

キエフ・バレエータラス・シェフチェンコ記念ウクライナ国立バレエー

「華麗なるクラシックバレエ・ハイライト」エレーナ・フィリピエワ舞踊生活30周年記念特別公演

キエフ・バレエの2018年日本公演の中で、京都だけのプログラムとして「エレーナ・フィリピエワ舞踊生活30周年記念特別公演」が行われた。カーテンコールで自らマイクを持って話したところによると、彼女にとって京都は特別な街。キエフ国立バレエ学校時代(ソ連時代)に優秀生徒として、友好のため、京都の寺田バレエ・アートスクールに招かれたことが素晴らしい記憶、思い出として残っているのだという。
そんな大切な街での記念公演、フィリピエワがさまざまな演目をレベル高く踊ることができるプリマであることを再認識する舞台となった。幕開けは、『白鳥の湖』第1幕2場より。ニキータ・スハルコフをパートナーにオデットを踊った。数え切れないほどオデットを踊り重ねたからこその叙情性が現われた。

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『白鳥の湖』第1幕第2場より オデット:エレーナ・フィリピエワ、ジークフリート王子:ニキータ・スハルコフ(東京公演)
写真提供:光藍社 写真:瀬戸秀美(すべて)

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『白鳥の湖』第1幕第2場より オデット:エレーナ・フィリピエワ、ジークフリート王子:ニキータ・スハルコフ(東京公演)

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『くるみ割り人形』第2幕よりパ・ド・ドゥ クララ:アンナ・ムロムツェワ、王子:ニキータ・スハルコフ

キエフ・バレエの後輩である有望ダンサーたちも出演した。『海賊』よりパ・ド・トロワをコスチャンチン・ポジャルニッキーのコンラッド、ヴィタリー・ネトルネンコのアリで、メドーラを踊ったアンナ・ムロムツェワは長身の素晴らしいスタイル、優しそうな雰囲気も良い。彼女は後半に『くるみ割り人形』第2幕よりパ・ド・ドゥも踊ったが、初々しい雰囲気も魅力。また、オレシア・シャイターノワは『アルレキナーダのパ・ド・ドゥ』を、高テクニックを見せるアンドリー・ガブリシキフと踊り、満面の笑顔でコミカルに楽しませた。彼女はヴィタリー・ネトルネンコをパートナーに『ゼンツァーノの花祭り』も踊った。穏やかで素朴な魅力が良い。また、ヴォロディミール・クルゾフは『ゴパック』、ゴパックはウクライナの舞踊なわけだが、さすが本場と納得する大きなジャンプにテクニカルなひねり回転、おおいに盛り上がった。 

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『ゼンツァーノの花祭り』ローザ:オレシア・シャイターノワ、パオロ:ヴィタリー・ネトルネンコ(東京公演)

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『カルメン』エレーナ・フィリピエワ、ドミトロ・チェボタル(過去の公演)

そして、フィリピエワ。ドミトロ・チェボタルとの『カルメン』で、強さや妖婉を、『瀕死の白鳥』では静かな精神性を、ラストの『ドン・キホーテ』第3幕では、3人のバジルとともに華やかで楽しい魅力を見せた。また、日本で観る機会がなかなかないと思える2007年にキエフ・バレエが初演したD.アブディッシュ、A.レフヴィアシヴィリがG.マーラーの曲に振付けた『巨匠とマルガリータ』全幕のなかの一部を観せてくれたのも興味深かった。『巨匠とマルガリータ』は、ボリス・エイフマンが小説を題材にバレエ化しているが、もともとキエフ生まれの作家、ミハイル・ブルガーコフの長編小説。ソ連当局から体制批判と受け止められ生前の出版は叶わなかった作品だが、死後26年を経て、1966年に出版された。マルガリータ役のフィリピエワが聖母のように巨匠(ヴィタリー・ネトルネンコ)包む、その想いが客席に伝わり心に残った。
(2018年7月29日 ロームシアター京都メインホール)

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『瀕死の白鳥』エレーナ・フィリピエワ(東京公演)
写真提供:光藍社 写真:瀬戸秀美(すべて)

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『巨匠とマルガリータ』エレーナ・フィリピエワ、ヴィタリー・ネトルネンコ(キエフ現地写真)
写真提供:光藍社 写真:瀬戸秀美(すべて)

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