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橋下清香、木本全優、金子扶生、津川友利江などヨーロッパで活躍するダンサーが多数出演「アーティスティック・バレエ・ガラ」

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna

BALLET OFFICE JAPAN「アーティスティック・バレエ・ガラ」

矢倉鈴奈;企画・構成・演出

3回目の開催となった「アーティスティック・バレエ・ガラ」。ルーマニアのブカレスト国立オペラ座バレエ団で活躍したバレリーナ、矢倉鈴奈がプロデュースする公演だ。今回、特にとても見応えのある舞台に仕上がっていたように感じる。7カップルが2つずつの演目を踊る形だった。
幕開けは、ウィーン国立バレエ団プリンシパルの橋下清香と木本全優による『ドニゼッティ』よりグラン・パ・ド・ドゥ、マニュエル・ルグリの振付。テクニカルな振付を、長身を活かしたスケールの大きさでイキイキと観せた。この2人は『白鳥の湖』第2幕よりパ・ド・ドゥでは、大人の落ち着きといえる魅力を観せてくれた。ベジャール・バレエのカルメル・アンドレスとスン・ジャユンは『Transit of Venus』を美しいスタイルで集中度を持って踊った。また、『Doble dos』では、赤いロングドレス、赤いシャツに黒いズボンといった姿で官能的な表現も見せた。

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『ドニゼッティ』よりグラン・パ・ド・ドゥ 橋下清香、木本全優
写真提供:BALLET OFFICE JAPAN、撮影:高田真(すべて)

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『Transit of Venus』カルメン・アンドレス、スン・ジャユン
写真提供:BALLET OFFICE JAPAN、撮影:高田真(すべて)

スペイン国立ダンスカンパニーの大谷遥陽とアウグスブルグ州立バレエ団の山本勝利は、『ドン・キホーテ』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ。明るく楽しい雰囲気を、高テクニックと躍動感で見せた。後半には、山本が所属するカンパニーのレパートリーであるコンテンポラリー『Voices』(振付:Ricardo Fernando)を踊った。2人は、クラシックも良かったのだが、それ以上に、こちらに自然に入り込んで表現しているように感じられた。

貞松・浜田バレエ団の瀬島五月とアンドリュー・エルフィンストンは、漆原宏樹振付『オネーギン』よりパ・ド・ドゥと『ジゼル』第2幕よりパ・ド・ドゥ。どちらも、ベテランと言える経験を重ねたからこその深みを感じさせる踊り。
ルーマニアのブカレスト国立オペラ座バレエ団プリンシパルの奥野凜とロベルト・エケナは、前半にコール・ド・バレエやディベルティスマンの踊りを加えての『コッペリア』を屈託なくチャーミングに踊り、後半には2人が自ら手掛けたオリジナル『カルメン』よりパ・ド・ドゥを披露。アクロバティックは振りも取り入れながら、自分たちに合う踊りを創っているのが興味深かった。

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『Voices』大谷遥陽、山本勝利  写真提供:BALLET OFFICE JAPAN、撮影:高田真(すべて)

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『オネーギン』よりパ・ド・ドゥ 瀬島五月、アンドリュー・エルフィンストン

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『カルメン』よりパ・ド・ドゥ 奥野凜、ロベルト・エナケ

そして、この素晴らしいダンサーたちのなかでも、今回、特に心に残ったのが2組。まずは、英国ロイヤルバレエ団の金子扶生とリース・クラーク。クリストファー・ウィールドンがベンジャミン・ブリテンの曲に振付けた『Aeternum』では、とても美しいラインをみせながら、なんとも言えない不思議な香りを漂わせる。また、ラスト、スペインやナポリ、マズルカといったディベルティスマン付きで『白鳥の湖』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ。金子は、滞空感のあるジャンプや優雅にトリプルをまわるアチュチュード・ターンなど高テクニックをすべての表現のなかでみせていく。王子をかわし、じらすようなしぐさもとても上品でゾクゾクする魅力だった。

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『Aeternum』金子扶生、リース・クラーク

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『白鳥の湖』3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ 金子扶生、リース・クラーク

もう一組は、元プレルジョカージュ・バレエ団の津川友利江とプレルジョカージュ・バレエ団のジャンシャール・ジュスニ。アンジュラン・プレルジョカージュ振付の2作品、『白雪姫』より出会いの場と『ロミオとジュリエット』より死のパ・ド・ドゥを踊った。どちらも、心が、なんの飾り気もなく、そのままストレートにこちらに飛んでくるような魅入らずにはいられない踊り。特に『ロミオとジュリエット』の方は、本当に、愛する人とこんな状況になったら、こうするのが自然......なりふり構わず、力一杯、起きて欲しいと体当たりし、感情をぶつける。絶望すると無の顔を見せる......とてもリアルな感情がそのまま伝わり、観ていて震えが止まらない迫力だった。

世界で活躍するダンサーたちの魅力を、現地で踊っているダンサーだからこその演目もふんだんに楽しむことが出来た舞台。また、来年にも期待したい。
(2018年8月12日 NHK大阪ホール)

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『ロミオ&ジュリエット』津川友利江、ジョンシャール・ジュスニ

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『白雪姫』津川友利江、ジョンシャール・ジュスニ

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