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様々のダンスに巡り会う旅、大柴拓磨プロデュースAlphact『SHIKI』

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ
text by Atsuko Suzuna

構成・演出:大柴拓磨

大阪市・Alphact

さまざまなジャンルのダンサーと美術や音楽のアーティストがともに舞台を創り上げ、作品を発表している実験的アーティスト集団Alphactの第6回公演が、11月12日〜14日、大阪・千林大宮の大阪市立芸術創造館で行われた。12月17日〜19日には東京・日暮里のd-倉庫で行われる予定だ。
『SHIKI』とタイトルが付けられたこの舞台、ここには「四季」「式」「色」「死期」「指揮」と複数の意味が込められているようだ。席に着くとまず目の前に広がるのは、舞台背景に描かれた天野弓彦の作品。その前で、旅人に扮した大柴拓磨が4人の大きな影響を与える存在と出会ってゆく。

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人間の人生を「四季」に例えた構成で、まず"春"には、ブレイクダンスダンサーのKATSU(一撃)に出会う。激しい動きに圧倒されたように戸惑いながらも、まるで悪ガキどうしが、強引だけど気の良い奴に仲間に引き込まれるようなダンス。2人の表情が人の良さをそのまま表しているようで、とても良い。続いては情熱的な"夏"で、森の植物を思わせるコンテンポラリー・ダンスの金刺わたる。せつなげに柔らかく、どんどん内面に入っていくようなダンス。"秋"はバレエのパ・ド・ドゥを槇直子と共に。美しく気持ちが通い合う穏やかな時間。そして"冬"は、片足を失ったコンテンポラリーダンサー大前光一。自らの内を見つめることで苦悩する大柴を更に深める存在としての大前。その関係は、もしかすると、この舞台上のフィクションではなく、現実の彼らの関係なのかも知れない......と、ふとそんな気がした。それは他の3人に関しても。

この公演、大柴がジャンプや回転、パ・ド・ドゥでクラシック・バレエの魅力を生き生きと見せてくれたのをはじめ、それぞれのダンサーのレベルの高いダンスが楽しめたのがとても良かった。大柴は「もう、バレエ以外のことに興味が・・・」という思いをつぶやいたこともあったような気がするが、クラシック・バレエだけに甘んじるのではなく、こうして他のジャンルのダンス、他のジャンルのアートと繋がりながらもクラシック・バレエを活かしている姿は、更にバレエに興味を持つ層を増やすことにも繋がるように思う。王子様やお姫様が現れるようなものは観たいと思わない人も、こんなふうに人生を見つめる作品なら、そしてそれが高度な多ジャンルのダンステクニックと表現に触れられるものなら、観たくなる可能性は高い。
(2010年11月13日 大阪市立芸術創造館)

『SHIKI』 撮影:尾鼻文雄

『SHIKI』 撮影:尾鼻文雄

『SHIKI』KATSU、大柴拓磨 撮影:尾鼻文雄

『SHIKI』大前光一、金刺わたる 撮影:尾鼻文雄

『SHIKI』槇直子、大柴拓磨 撮影:尾鼻文雄

『SHIKI』槇直子、金刺わたる、KATSU、大前光一 撮影:尾鼻文雄

撮影:尾鼻文雄

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