兄妹のパックが活躍した堀内充の『真夏の夜の夢』
- ワールドレポート
- 大阪・名古屋
掲載
ワールドレポート/大阪・名古屋
- すずな あつこ
- text by Atsuko Suzuna
芸術監督:山本紗内恵、振付:堀内充
Y.S.BALLET COMPANY(山本紗内恵バレエスクール)
Y.S.BALLET COMPANY第3回目の公演は、堀内充振付による『真夏の夜の夢』。メンデルスゾーンの曲にのって、シェイクスピアのお馴染みの物語が展開されるわけだが、今回の演出で大きく違う点は、パックが兄妹の2人で登場するということ。明るいお転婆娘の妹(中浜のぞみ)と、のびやかに飛び回るパック(中弥智博)のシーンは、面白みが上手くでていた。
ハーミア(佐野弘枝)、ライサンダー(山本庸督)、ヘレナ(高井香織)、ディミートリアス(福岡雄大)が繰り広げる恋のあれこれのシーンも、一定以上の力を持ったダンサーがたちが集ったことで、演技力を伴った物語として楽しめるものに仕上がっていたし、オベロンは気品があり醸し出す雰囲気に風格が感じられた。
特に私が好ましく思い、印象に残ったのは、タイターニア(佐藤絵理)とロバにされたボトム(芝田剛)のシーン。ユーモラスな中に優しさが感じられ、ただコミカルで笑うといったものではなく、温かいものが伝わってきたのが良い。
最後は、誰でも聞き覚えがある結婚行進曲に乗って、チュチュでクラシックのパを活かした踊り。形式的なクラシックもきちんとこなす力のあるダンサーが多数在籍していることを観せてくれた。
(2010年7月24日 NHK大阪ホール)
撮影:尾鼻文雄/二井内辰俊(stage picture Mugen )