シンフォニック・バレエから古典名作バレエ、オリジナル作品まで、iSバレエ・アカデミア
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掲載
ワールドレポート/大阪・名古屋
- すずな あつこ
- text by Atsuko Suzuna
芸術監督・振付:泉ポール、構成・演出・振付:下森瑞「iSバレエ・アカデミア第10回リサイタル」
iSバレエ・アカデミア、泉・下森バレエ団
毎回、1人ひとりの出演者を大切に工夫に溢れた構成・演出で楽しませてくれるiSバレエのリサイタル、今年もやはりそれを感じる舞台だった。
1部では『ファンタジア・ブラン』というシンフォニック・バレエ。中心のパ・ド・ドゥを塚本士朗とともに踊った白井貴子のアチュチュードターンのラインが美しく目に焼き付く。
続いての2部は古典バレエ名作集で、その最初の演目は、大久保春香、大久保彩香、八木飛鳥、細山田愛美による『パ・ド・カトル』。さすが各コンクールで素晴らしい成績を上げているダンサーたち、基礎に忠実に丁寧に、全体に慎ましやかな魅力をもって良い作品に仕上げていた。
続いては、川村結衣と楊在恒の『レ・シルフィード』よりグラン・アダージョ、まだリフト慣れしていないことは見えてしまうものの、腕のやわらかさが良い。そして『瀕死の白鳥』を踊ったのは下森瑞。水にたゆたうようで、心を込めた丁寧な踊りに好感が持てる。『ドン・キホーテ』よりグラン・パ・ド・ドゥの八木永遠那と塚本士朗は2人ともクセのない素直な踊り、キトリのフェッテ・アントゥールナンはほとんど軸がぶれなかった。
ラストである3部は、ちょうどバレエに関して考えることが多くなる小学校4年生の生徒たち32人にスポットを当て、下森瑞が振付けたオリジナル作品『誕生花』。32人ひとりひとりに違ったキャラクターを当て、それぞれに振りつけられていることに愛情を感じる。その子供達の中心で踊る幸せの花の女神役の大久保春香は優しい雰囲気で役にぴったり。一定以上の力を持つダンサーたちによる花の精のコール・ド・バレエも気持ちまで揃っているようで魅了された。
(2010年8月6日 兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール)
撮影:金原優美/古都栄二(テス大阪)