夏山周久振付『Dear Gershwin』ほか『ラ・プリマベーラコンサート』
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掲載
ワールドレポート/大阪・名古屋
- すずな あつこ
- text by Atsuko Suzuna
原田高博、宗田静子、夏山周久:振付
バレエ・スタジオ・ミューズ
3月31日に閉館した大阪厚生年金会館の最後の演目。30日のカーテンコールでは、長年このホールを使って来た主催のバレエスタジオミューズから厚生年金会館代表者への花束が手渡された。コンサートの内容は、クラシックから創作まで。私が観た30日はオープンクラスに通うダンサーたちによる公演(前日29日には、同じ主宰者が指導するソウダバレエスクールのジュニアたちによる舞台が行われた)。
幕開けは原田高博振付による『ラ・バヤデール』よりパ・ダクション。ガムザッティ役の田中ルリはしなやかな動きの中に輝くような高貴さを感じさせ、ソロルの岡田兼宜も抜粋ながら物語を意識した踊りで良かった。ガムザッティのヴァリエーションはアンディダンのトゥールやバロネ等を入れたもので、田中が柔らかみを持って踊り、良い感じに仕上がっていた。
第2部はバレエコンサート。特に印象に残ったのは、まず、毛利実沙子の『エスメラルダ』よりヴァリエーション。
回転軸がしっかりしているといった技術の高さの上でのなめらかな踊り。もうひとつは、『ドン・キホーテ』第3幕よりで、キトリを久保佳子、バジルを岡田兼宜。特に久保が安定したテクニックと可愛らしい笑顔で明るく楽しませた。
ラスト第3部が夏山周久振付『Dear Gershwin』。NY・ブロードウェイの香りたっぷりのダンスを、さまざまなレベルのダンサーがノリよくシーンごとに踊り分ける。主役Coupleの涌田美紀と末原雅広は、2人ともテクニカルな振りも踊りの流れのなかで自然に伸びやかさを持ってこなしていた。さすがに伸び盛りの若手ダンサー、観る度に成長が感じられるのが嬉しい。
(2010年3月29日、30日 大阪厚生年金会館芸術ホール *30日を鑑賞)
撮影:近藤幸博(イングルウッド)