あいちトリエンナーレ2010祝祭ウィーク共催事業 越智インターナショナルバレエ『ジゼル』
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掲載
ワールドレポート/大阪・名古屋
- すずな あつこ
- text by Atsuko Suzuna
演出・振付:ワレリー・コフトン『ジゼル』
越智インターナショナルバレエ
越智インターナショナルバレエの『ジゼル』、ワディム・ソロマハのアルブレヒトをパートナーに、ジゼルを踊ったのは越智久美子。『ジゼル』という演目は少女の物語でありながら、経験の浅い若いダンサーでは物足りないことが多いものだが、そこはさすがベテラン、作品について考え抜いたからこそ出せるジゼルの魅力を観せてくれた。
1幕では、細かな演技もこなれた感じで、ヴァリエーションでも一つひとつのパの形が美しく、ていねいで柔らかさもある。そして、狂乱の場面では、操り人形のような脱力感、迫真の表現に凄みもあり引きこまれた。
そして、やはり特に良かったのは2幕。ソロマハもとても美しいアントルラセや後悔の表現が素晴らしく、越智久美子は美しいラインを見せ、何よりも深いアルブレヒトへの想いが込められていることが客席に伝わる踊りだった。
脇を務めたソリスト達も楽しませてくれた。ペザント パ・ドゥ・ドゥを踊ったのは、吉冨由見子と越智友則。吉冨は膝を着いた状態からのピルエットもスムーズで、テクニックを滑らかにこなす力を持っているのが感じられたし、越智友則は弾むような軽さがあって、軸のしっかりした回転も良い。また、ミルタは山本小糸バレエスクールから松本真由美。確かな技術に基づいて、凜とした正しいことしか許さない毅然としたミルタをよく表現していた。ドゥ・ウィリーの藤本綾と佐藤紫帆もその動きにニュアンスがあり楽しみなダンサー、コール・ド・バレエも慎ましやかに揃っていて好感が持てた。
(2010年10月17日 愛知県芸術劇場大ホール)
撮影:岡村昌夫(テス大阪)