変化のある見やすい構成の赤松優の『カルメン組曲』
- ワールドレポート
- 大阪・名古屋
掲載
ワールドレポート/大阪・名古屋
- すずな あつこ
- text by Atsuko Suzuna
構成・演出・振付:赤松優『カルメン組曲』ほか
赤松優バレエ学園
赤松優バレエ団の38回目の舞台、ヴァリエーションやグラン・パ・ド・ドゥ、子供たちによる『白雪姫』などさまざまなものが上演される中、もっとも見応えがあったのは第2部で上演された『カルメン組曲』。
主役カルメンを踊ったのは矢野陽子、彫りの深い顔立ちを活かして眼に力のある誘惑の視線やチャーミングな笑顔など、クルクルと変化する表情が魅力的。可愛らしくふるまったかと思うと焦らしたり......男心を掴んで離さないカルメンをバレエテクニックも活かして伸び伸びと踊り、好演していた。ドン・ホセの沖潮隆之も、心がこもった自然な演技で観ている私たちに想いを伝えた。また、彼に合った振りが組み合わされていることもあるのか動きに無理がなく、他の舞台で観る時よりもずっと良かった。振付の構成も、タバコ工場の女工たちの群舞が良いタイミングで入るなど、ほどよい変化があって見やすい仕上がり。
この『カルメン』でのスニーガと、『パリの炎』や『アルレキナーダ』のグラン・パ・ド・ドゥで、いつもながらの正確で伸びやかなテクニックを活かして恵谷彰が気持ちの良い踊りを観せてくれたのも良かった。そのそれぞれのパートナー、『パリの炎』の西友里江も伸び伸びと、『アルレキナーダ』の久世めぐみはとても表情豊かに観客を楽しませてくれた。他の出演者に関してもクラシック・バレエの基礎を大切に踊っているダンサーが多いことを感じた。
(2011年3月27日 兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール)
撮影:テス大阪