子供たちが活躍したモリヤマシティバレエ『くるみ割り人形』「バレエコンサート」

ワールドレポート/大阪・名古屋

すずな あつこ
text by Atsuko Suzuna

演出・振付:やすなみずほ『くるみ割り人形』

モリヤマシティバレエ

初めて、滋賀県守山市のモリヤマシティバレエの舞台を観た。主宰は法村友井バレエを経て、石井アカデミー・ド・バレエ、英国留学の後、日本でさまざまな舞台に出演し、劇団四季のミュージカルでも活躍した経験を持つ、やすなみずほ。
まず、幕開け、子供たちが出演する踊りに、可愛らしくちょっとクスッと微笑みが湧くような演出がいろいろと凝らされているのが楽しい。袖幕なども上手く使うなど、バレエだけでなくミュージカルの世界も知っている方だからこそのセンスの良さかなと思わせた。

バレエコンサートで印象に残ったのは、まず水野宏子の『瀕死の白鳥』。踊りというものは、精神の集中度や、どれだけ心がこもっているのかが、言葉ではなくストレートに観客に伝わるものだと思う。"想い"が伝わってくるような気する踊りだった。
また、カルメンを踊った大坪千鶴は、華やかさと野卑な感じを上手く同時に表現していた。そして、主宰のやすなは、水野英俊とともに『who cares ?』を意識したパ・ド・ドゥ。彼女はこういうアメリカン・ミュージカルっぽいおしゃれな感じがとてもよく似合う。大人だからこそ出せる魅力を見せてもらった。

『瀕死の白鳥』水野宏子 撮影:石田奈津子(テス大阪)

そして後半は『くるみ割り人形』。子供たちが活躍する場いっぱいの全幕だ。
このなかの戦争シーンの振付は、コンテンポラリー・ダンスの振付でさまざまな高評価を得ている北村成美。脚を銃に見立てた動きなど、通常のバレエとは違った振りが興味深かった。
子供たちが全体に素直な踊りができるように育っているのが感じられ、喜ばしいことだと思った。
(2011年5月1日 守山市民ホール・大ホール)

『who cares?』撮影:石田奈津子(テス大阪)

『くるみ割り人形』撮影:高須克之(テス大阪)

『くるみ割り人形』撮影:高須克之(テス大阪)

『くるみ割り人形』撮影:高須克之(テス大阪)

撮影:高須克之・石田奈津子(テス大阪)

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